スタートアップインタビュー

スタートアップインタビュー

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「チャットボット」が変える日常。大手企業と組んで新しいインフラに【後編】

株式会社コンシェルジュ 代表取締役 太田匠吾氏

後編では、太田社長が東京大学大学院を卒業されてから証券会社や政府系ファンドを経て、スタートアップ創業に至るきっかけや、crewwコラボ等を通じた大手企業との取り組みなどについて語っていただきました。

―― 太田社長は東京大学大学院で農学生命科学を専攻していますが、研究畑を歩んで来られたのですか

もともと新しいもの好きで、最先端の研究に触れたいということで生命科学の分野に興味を持ちました。残念ながら、大学や大学院で学んだ農学生命科学とこれまでの仕事は直接的には関係なかったですね(笑)。ただ仮説検証を繰り返すロジカルシンキングという点では役にたってはいます。

大学院へは行ったものの研究職よりもっと一般の人にインパクトを与える仕事に就きたいと感じたのと、すぐに経営層に近い仕事をしてみたいと思いから、JPモルガン証券へ就職しました。3年半の勤務でM&Aの業務に携わらせてもらって、色々な企業経営者の挑戦にお付き合いさせていただいたことが、いまのチャレンジに繋がっていますね。

―― その後、特許事務所での勤務を経て、政府系ファンドの産業革新機構で5年勤めた後に起業しています

親が弁理士事務所を経営していまして、そこを少し手伝いました。後に特許調査サービス会社「IPQuest」で起業したのはこの時の経験があります。知的財産の分野こそ、過去の登録内容などを調べるうえで人間よりもAIの力が大きく役に立つ、と感じて現在のAI分野での事業にもつながっています。
親の事務所を1年ほど手伝ったのですが、業務内容を考えるとどうしても型にはまった仕事にならざるを得ない、と感じた末に産業革新機構へ飛び込み、5年ほどお世話になりました。

産業革新機構では投資部署にて液晶ディスプレイのジャパンディスプレイさんも担当もさせていただき、おかげで米アップルさんとの交渉を経験することもできまして、日々多忙でしたが良い経験でした。

ただ、投資実務を経験する中で、投資する側が基本的に“サラリーマン”であるため、起業家の真の気持ちが分からない部分に葛藤を感じることが多々あり、「自分で実際にやってみなければ」と起業を決断しました。大学生の頃から「何かやらねば!」と思って過ごしてきたことも後押ししたのかもしれません。

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2016年に創業したコンシェルジュの公式サイト

―― まだ成長途上にあるといえるチャットボットですが、コンシェルジュさんでは、すでに複数の大手企業へサービスを導入していますね
昨年(2016年)8月に行われたcrewwコラボに参加したところ、紳士服のはるやま商事さんに採択いただき、今年(2017年)1月に「はるやま就活」LINEアカウントをリリースしました。

はるやま就活LINEアカウントでは、LINE上でスーツの着こなしやビジネスマナーなどをー問一答形式で回答するもので、スーツに着慣れていない就活生を対象としています。これまではるやま商事さんが蓄積されているデータを用いて応答を自動化し、店舗の就活アドバイザーとやりとりをしているようなイメージに仕上げています。

また、まだ表には出せない段階なのですが、インフラ企業や不動産会社からも興味を持っていただいており、お客さまの問い合わせに24時間リアルタイムで対応できる仕組みを構築しているところです。不動産物件への問い合わせがあれば、チャットボットによって即座に返答するというイメージです。

その他、crewwのコラボを通じたものではありませんが、昨年11月からニッポン放送さんの著名番組「オールナイトニッポン」の「カノエラナのオールナイトニッポンモバイル」にもLINEを使ったチャットサービスを導入いただいています。昔はラジオ放送というとリスナーがハガキを投稿していましたが、このサービスでは対話形式でメッセージ投稿が可能となっていて、最近の若いリスナーさんには好評のようです。

―― crewwコラボでは多くの大手企業から熱い視線を浴びているコンシェルジュさんですが、これまでの経験から大手と付き合ううえでのアドバイスをお願いします

crewwコラボもそうですが、単なる“下請け”ではなく対等関係であれ、ということでしょうか。「何でもやれます」という部分を見せるのではなく、自らがコアとする部分を見極めたうえで提案するのが上手くいくのではないでしょうか。

crewwさんに関してはコラボ以外の部分でもいろいろな話をいただいたり、担当者とつなげていただいたりして非常に助かっています。これからもコラボがあれば積極的に応募していこうと思っています。

―― ありがとうございました

 
株式会社コンシュルジュのcrewwページ
 
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「チャットボット」が変える日常。大手企業と組んで新しいインフラに【前編】

株式会社コンシェルジュ 代表取締役 太田匠吾氏

人工知能(AI)の進化とともに生まれたのが自動でリアルタイム対話を行ってくれる「チャットボット(chatbot)」。チャットボットにより、“日常”を変えることも期待でき、ユーザにはこれまでにない高度な体験を提供できる存在として、グーグルやFacebook、マイクロソフト、日本でもLINEやNTTドコモなどが相次ぎ参入しています。そんななか、高性能な自動応答システムを独自に開発し、crewwのオープンイノベーションプログラムを通じて複数の大手企業に採用されるなど熱い視線を浴びるスタートアップが2015年に創業した株式会社コンシェルジュ(ConciergeU=東京都中央区)です。東京大学大学院を修了後、JPモルガン証券や産業革新機構を経て起業した経歴を持つ太田匠吾さんに話をうかがいました。

―― 日々の生活を変革しうるテクノロジーとして「チャットボット」が話題を集めています。投げかけた質問に対し、人工知能(AI)によって自動的に答えてくれる、というイメージが強いのですが、太田社長ご自身はどのようにとらえていますか

一般的に言えば「通信」と「ロボット」を合わせたものがチャットボットで、確かに双方向コミュニケーションを自動で行うという存在です。

ただ、チャットボットに「何をやらせるか」によって特徴は変わってきます。ユーザの質問に対する返答を行わせるのか、弁護士などのようにアドバイスを行うのか、エンタテイメント的に楽しませるのかなど、役割が色々ありすぎるためか、チャットボットの定義もばらばらです。それだけに「簡単なものではない」と捉えています。

“自動化”という部分で見ても、扱うデータがテキストなのか画像なのか、音声なのかによっても変わってくるでしょう。画像の場合は、「猫」が写っていることをAIが学習すれば、それは次から猫として認識してくれますが、テキストの場合はやっかいです。たとえば会話の中で「crewwってヤバいよね」という言葉が出てきたら、どう捉えるべきでしょうか。

もし、株式上場した直後だったら良い意味でしょうし、悪い決算を発表した後だったらネガティブな可能性が高い。シチュエーションやタイミング、発言者の属性や対話する相手によっても意味合いが変わってくるわけですが、これを捉えるのがなかなか難しい。AI技術で先行するIBMでもグーグルでも同様の状況です。現状では技術が追い付いておらず、人がやり取りしたほうが速い、という面もあります。

私たちはその難しいテキスト解析、「自然言語処理」と呼ばれる分野を専門としています。従来からある「ルールベース」「機械学習」と呼ばれる仕組みも用いながら、AIによって会話を学習して賢くする、というアプローチによってサービスを構築しているところです。


コンシェルジュでは高性能な自動応答サービスを提供している

―― そのチャットボットですが、様々な業界で活用が進んできているようですね。この現状について貴社の視点からはどう感じておられますか

チャットボット全体の現状を言いますと、AIを使った先端技術研究の一環としてさまざまな試作サービスを作ること自体は可能ですが、自然言語処理の壁などもあり、先進的なものを“量産化”し定常的に使えるようにするまでには、まだ時間がかかるのではないかと感じているところです。

ただ面白い活用も進んでいまして、私たちが作ったものではありませんが、大阪の近畿大学では、同大学のOBでもあるつんくさんが質問に答えてくれる簡単なチャットボット的なコーナーがあり口調もつんくさんをイメージしていて、エンターテイメント的な使われ方をしていて結構面白いですよ。

こうしたサービスを作ること自体はそれほど難しくはありませんが、AIやテクノロジーというよりも、脚本作家といいますか、こう質問されたら、こういう口調でこんな内容を答えるというように“会話”を面白くするストーリーを書く能力も重要かもしれませんね。

 
株式会社コンシュルジュのcrewwページ
 
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生き方や働き方の多様性を実現するための器としての会社 ポーラスタァで実現する「子育てしながら働く」ということ

株式会社ポーラスタァ 代表取締役 高沖清乃

現代社会における女性の働き方を模索し、web会議やクラウドの活用で働き方の多様性を実現している株式会社ポーラスタァ。メンバーは現在7名。全員がママで、子どもの数は合計16人。全員が子持ちのメンバーのため、デュアルライフや移住の可能性の追求、副業推進、子どもの夏休みにあわせた長期休暇取得などを実施している。理想とも言える働き方の作り上げ方は?

――スタートアップといえば、急成長して、M&Aないし上場してイグジット、という絵を描くものですが、株式会社ポーラスタァの場合、サービス開発や従業員の環境作理に向かっていますよね。それを崩すような買収の話を断ったという話も伺いました。

何が本当の成長で、その時期のイグジットなのか、考えて答えを出している結果、今の会社の姿があります。

――莫大な利益を上げたり、媒体の数字を積み重ねたりするだけが、会社の社会的貢献ではないということですよね。

「ポーラスタァ」は北極星という意味なんです。航海のときに、たとえ地図がなくても”北極星”の位置がわかれば、目的地へ行くことも、家に帰ることもできます。わたしたちは、情報の海の中で「北極星はここだよ」と発信し続けることをミッションにしてきたのですが、それは経営の姿勢としても現れてきているのかもしれません。

例えば、私たちが10年前に会社を立ち上げ、8年前に媒体をスタートさせた当時と違い、現在は働くお母さんというもの自体が一般化しつつあります。だけど、まだ時間いっぱいオフィスにいて働くことが評価されるという事実もあると思うんです。それだと、子育てをしながら働く人には非常に不利なんですよね。

現在の子育ての、ボトルネックになっていることのひとつは「仕事」。正確に言えば、「仕事」そのものではなく、「働き方」だと考えていました。「こどもと本当はこんな風に過ごしてみたい」「本当はこんなママでいたい」というような想いを邪魔してしまうのも、残念ながら働き方が原因になることがありますよね。

会社だからといって、全員が同じ働き方をする必要はないし、制度で縛らなくてもいい。自分の状況やお子さんの状態によって働き方を変えられて、やるべきことをしていれば評価されるという会社があってもいいのではないかと考え、半期毎の面談により目標と働き方を決めています。大体週2~5日勤務ですが、時間や曜日は確定していませんし、テレワーク(リモートワーク)も取り入れてます。

――他社からの理解はどのように得ていますか?

クライアントには契約前から事情を伝え、納期には少し融通を利かせてもらえるようにしています。それで取れなかった仕事ももちろんありますが、当社を理解し、仕事を継続している会社は考え方が合う会社なので、より濃密な関係を築けています。

――それが実現できたのは、高沖さんご自身の体験が大きいのでしょうか? 昨年は、ヨーロッパや長野に家を建てていましたよね

はい。2015年、私が実家のある長野県伊那市に家を建てて、デュアルライフがスタート。東京の家を解約して、長野に移住するまでの間、1ヶ月ほど家族でヨーロッパを周りました。ヨーロッパに出かけたことがなかったので、フィンランド(ヘルシンキ)・エストニア(タリン)・イタリア(ローマ・トスカーナ・ヴェネツィア)・スペイン(バルセロナ)にステイをすることに。実際の暮らしのなかで文化や習慣を体感してみたかったので、ホテルではなくAirbnbを活用し、現地のアパートメントを借りて生活しました。

今回のインタビューでは語りつくせませんが、「自分の国の言葉」「違う国の言葉(しかも種類がある)」を認識し、違いを認めて、善悪ではなく相手と話したい一心で相手に通じる言葉で語ろうとする様子に人が本来持つ力のようなものを感じたり、私自身、現地の多様な間取りやインテリアを暮らしの中で体験できたり、実り多いものでした。

それに至るまでも2年ほどかけて、日本国中を旅行していました。きっかけは仕事がなにかと忙しく、つい家と保育園(会社)の往復になりがちだったので、まずは動いてみました。日本の中にも山がある場所、海がある場所、ビルが多い場所、雪が降る場所、年中暖かい場所、お年寄りばかりの場所など、いろんな場所があると、実体験を持って伝えられて良かったですよ。

子連れ旅行に関しては、「こととりっぷ」http://www.kototrip.com/という個人ブログにまとめています。

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――夢のような働き方が実現されていますが、サービスの方も次々と展開されていますよね。

働くお母さんのための情報誌である「ニンプス」を定期購読誌を妊娠月数別に臨月まで毎月発刊していました。この冊子を作る1年前からゼロスタートでWebを制作して、現在の月間のWeb訪問者は30万人程度まで伸びました。第1子だと国内では月間50万人が限界値なので、現状のこの数字が限界に近い状況です。「ニンプス」という認知は無いにしても、妊婦さんは妊娠中に1度はご覧になられていると考えていいのではないでしょうか。

特にWebは人をあおって動かす傾向があるので、その様な書き方は一切しないと決め、ネガティブではなく明るくポジティブな内容にし、未来に対して明るく前向きになれるように作っています。

――そこにも数字至上に陥らない想いがあるんですね。そこから、幾つかのサービスをリリースし、2015年2月にフォトアプリ「Baby365」をリリースされましたよね。

Baby365は、 いくつもの印刷所から「難しすぎる」「うちではムリ」と断わられていたんです。アプリの制作はどんどん進んでいるのにフォトブックの見通しが立たないなど、困難はありましたが形にすることができました。今後はたくさんの方の工夫や想いが詰まったこのサービスを展開していきたいと思っています。

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photo by 平林直己

 



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立ち上げから運営、投資面までネットメディアを一気通貫支援

株式会社メディアインキュベート 代表取締役 浜崎正己氏

株式会社メディアインキュベート (東京都中央区)は、その名の通りインターネットメディアを展開する事業者に向け、取材や編集、書き手の手配といった実務面を始め、マネタイズや投資にいたるまで一気通貫の総合支援企業を目指し、今年(2016年)3月に創業しています。メディア運営経験が豊富な代表取締役の浜崎正己さんに、現状と今後の展開について伺いました。

新聞社のネット版から動画CGMまで多彩な経験

――浜崎社長はさまざまなメディアに携わってこられたとのことですが、起業までにどのような道を歩んで来られたのでしょうか

大学時代は「メタバース」や「セカンドライフ」などのキーワードで当時話題となったインターネット上の仮想世界に興味を持ち、研究をしたことを契機にネットの世界を知ることになりました。ただ、卒業後に就職したのは、建機レンタルの大手企業です。

入社したのが2011年の春でしたので、東日本大震災の復旧や復興需要でとにかく多忙でした。この時の営業マンとしての経験は後に生きてくるのですが、やはりネット業界で働きたいとの思いが募り、大手商社系のデジタルメディア企業に転職しました。

この会社は通信キャリアの公式サイトを請け負う事業や電子書籍の流通事業、広告代理店事業を得意としていたのですが、そこで著名夕刊紙のサイトを担当させていただくことになりました。もともと新聞記者になりたいとの夢もありましたので、とにかく仕事が楽しく、やりがいがありましたね。

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――新聞社のネットメディアに携わったことが後のメディア支援業につながるのですね

現在、この夕刊紙のサイトは飛躍的に発展しているのですが、紙でやっている新聞のネットメディア刷新に携われたことは大きな財産になっています。会社は離れましたが、お付き合いは続いています。

――その後はいわゆる著名な“ネット企業”で勤務されています

GMOモバイルやザッパラス、ユーチューバーのマネジメントで知られるUUUM(ウーム)などで勤務し、ポータルサイト運営や動画メディアに携わりました。新聞からポータル、動画CGM(消費者生成メディア)まで多彩なメディア運営の現場にいられたことは幸運でした。

このほか、韓国のコミュニティメディア企業が日本法人を立ち上げる際に創業メンバーとなり、韓国本社に滞在していたこともあります。ここでは、スタートアップの熱気というものを肌で感じることができました。

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メディアインキュベートのWebサイト http://media-incubate.com/

――そして、今年(2016年)3月30日にメディアインキュベートの創業に踏み切ります

ネットメディアの新規事業を立ち上げたいとの思いを常に秘めていましたので、「そろそろ」ということで、自らが生まれて1万日目に会社を設立しています。

スタートアップの世界では、著名な支援企業としてサムライインキュベート(榊原健太郎CEO)さんがありますが、まさにサムライさんの“ネットメディア支援版”になりたいとの思いから、メディアインキュベートという社名をつけました。

――メディアの立ち上げや運用を支援し、メディアに特化した投資を行うとのことですが、具体的にどのような事業を展開していますか

ネットメディアの立ち上げという部分は、すでにいくつかの話が進んでいて、この秋にもスタートするVR(バーチャルリアリティ)専門メディアに深く関わらせていただいています。

運用面では、記事の提供や書き手(ライター)、クリエイターのアテンドといった編集面をはじめ、育成講座なども行っています。メディアのコンサルティング業務もお受けしており、大手新聞社からもご依頼をいただいています。

このほか、メディア運営面では、他企業と連携してメディアに最適化したCMS(コンテンツマネジメントシステム)も開発中です。

加えて、起業に関するイベントを定期的に開いたり、アーティストへの支援業務といった点までカバーしたりしています。今後はメディアや運営企業への投資という面にも力を入れていきたいと考えているところです。

――自社がメディア運営を行うこともあるのですか

はい、メディアインキュベートマガジンというメディアを立ち上げており、特に「地方創生」に興味を持っていますので、そうした内容を中心に取り上げています。

また、8月からはサイバーエージェントが運営する映像配信プラットフォーム「FRESH! by AbemaTV(フレッシュbyアベマTV)」に公式チャンネルを開設し、ゲストの方々を招いての対談やインタビューなどをまじえた番組を作り、定期的に生中継を行っているところです。

会社としては、ネットメディアのなかでも特に「動画」という部分に注目して支援にも力を入れていきたい考えです。

――crewwとはどのように出会われたのでしょうか

登録したのは2年くらい前で、まだ起業する前だったと思います。最近は大手新聞社やテレビ局などのメディア企業がcrewwでオープンイノベーションを行っているケースも目立っていますので、われわれもこれから積極的に応募しなければと思っています。

スタートアップが単独で大企業とお付き合いするのは難しい部分が多々ありますので、“文脈”を作って懸け橋となっていただけるcrewwさんの仕組みは大変ありがたいですよね。

――さまざまな企業で勤務し、大手企業とともにメディア運営業務を行ってこられたなかで、スタートアップが大手企業と付き合うために、気を付けるべき点などのアドバイスをお願いいたします

アドバイスと言うとおこがましいのですが、私自身が感じたことは、大きな組織であっても、最終的には人と人のお付き合いだということです。当たり前ですが、互いのメリットが一致するような付き合いをしなければならないと強く感じています。

――ありがとうございました

 

株式会社メディアインキュベート・浜崎正己さんのcrewwページ



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ビジネスとアカデミズムに相互発展のスパイラルを起こしたい ジーンクエストが他のバイオベンチャーと一線を画している理由

株式会社ジーンクエスト 代表取締役 高橋 祥子(PhD)

遺伝子解析や、遺伝子治療、遺伝子検査、そしてそれを取り扱う企業は新しい分野として、ずっと着目されていたものの、今、ジーンクエストが話題になる理由はどこにあるのだろうか。

――ジーンクエストは2013 年 6 月に東京大学の研究者が中心となって設立されたバイオベンチャー企業ということで、高橋さんは、大学院在学中に起業されたんですね。起業して味わった苦労はどんなことがありますか?

起業に伴い、何もかもが苦労の連続でした。なぜなら、一度も就職しなかったので社会のことを知らずに起業したためです。業者さんとのやりとりや、WEBサービスや事業の作り方、営業の仕方も何も知らない状態から始めました。ビジネスマナーもよくわからず…そのため、自分の失敗経験から、直接多くのことを学びました。経営の本を読むことでも勉強をしました。

また、人脈もゼロの状態から始めましたので、1人で学会に参加して知見の豊富な大学教授に相談をしに行ったり、自分から経営者の講演に行って、その後に名刺を持って話を聞いてもらえるよう試みたりしました。やはり多くはその場の受け答えだけで流されてしまいましたが、なかには話を聞いていただき、親身に相談に乗ってくださる方もいました。何とか事業を立ち上げることができたのは、当時からたくさんの方々に支えていただいたからです。

――2014年1月には一般消費者向けの遺伝子解析サービスを開始していますね。もう少し具体的に教えてもらってもいいですか?

解析キットを購入し、唾液を送付していただくことで、生活習慣病などの疾患リスクや、体質に関わる情報など、最大約290 項目についての自身の遺伝情報を知ることができます。具体的には、がんや2型糖尿病やアトピー性皮膚炎、骨粗鬆症など多くの病気リスクのほかに、アルコールに強いかどうかや痛みの感じやすさ、記憶力や乳糖耐性、骨密度などの遺伝的な体質などです。このように、自分の健康リスクを事前に知っておくことで、事前に自分の体質やなりやすい病気を把握・予防することができます。

また、自分の祖先がいつ誕生したのか、どこで誕生したのかなど祖先の歴史を知ることもできます。自分のルーツを探ることができるのも遺伝子検査の魅力のひとつです。

――遺伝子解析サービスは幾つか出てきていると思いますが、ジーンクエストに顕著な特徴を教えてください。

ジーンクエストのサービスの特徴は、日本人や日本人を含むアジア人を対象とする科学論文を情報の根拠として使用し、日本人やアジア人向けの大規模遺伝子解析を行っていることです。
当社では市販のDNAチップを独自に改変し、日本人の疾患や体質との相関について科学的根拠のある遺伝子を解析対象としています。

また、他社では追加サービスを受ける際に費用が発生することが多いですが、ジーンクエストは研究が進んで新しい知見が整ったときに、それに伴って無償でメニューを追加するサービスも行っています。

サービスに使われる遺伝子データはごく一部ですが、私たちはお客様の同意も得た上で、約30万箇所の遺伝子を調べ、データを蓄積しています。まだ機能がわかっていない遺伝子についても研究を行っており、その研究の成果が更新されれば、その知見に合わせて結果も更新されます。

今後どんどんユーザーが増え、新たに膨大なゲノムデータが蓄積され、それによりさらに研究が進んで、新たに見いだされた知見を消費者へ還元する、という、ビジネスと研究のシナジー効果を生み出していきたいという想いが、私が起業したきっかけでもあります。

――ビジネスとアカデミズムを相互に作用させていくということですか?

はい。私は、東京大学大学院で大規模な遺伝子解析を活用して生活習慣病の予防メカニズムについて研究していましたが、「研究者として生命科学分野を発展させたい」という想いを持ちながら、「その研究成果を社会に持続可能な形で発展させられるような仕組みをつくりたい」と考え、そこで辿り着いたのがジーンクエストのビジネスモデルです。コンシューマー向けの遺伝子解析ビジネスを提供しながら、遺伝子情報において、特化した社会的研究を行うことのできるジーンクエストを起業することで、間違いなく生命科学の分野の研究を加速できるという確信がありました。

――遺伝子検査に対して、倫理的な問題やビジネスの障壁もありますよね。妊娠前検査も議論になりがちだと聞いたことがありますし、精神疾患の可能性といった情報が差別に繋がっていくこともあるでしょうし、それに個人情報という意味でも遺伝子情報は究極の個人情報になりますよね?

個人のゲノム情報を扱うということは、情報が明らかになることで遺伝子による社会的差別につながり得るというリスクがあり、そのため、遺伝子情報の管理の仕方などが適切に議論される必要があると感じています。
ゲノム情報を今後どう扱っていくかはようやく議論が始まったところで、まだ社会に倫理的基盤が形成されていないという問題があります。実際は、技術の発展が早すぎて、人の認知も議論の時間も追い付いていないのが現状です。日本では、義務教育にもヒトゲノムの内容は入っていません。このように、教育によって倫理の形成に先手を打てるようにすることも重要だと思います。

――遺伝子検査のユーザーの母数が増えなければ、データベースが充実しない。そこの認知と倫理を醸成していくのがポイントなんですね。

はい。当社の目的のひとつに、「遺伝子の研究を推進し、正しい使い方を広め、人々の生活を豊かにすること」があります。遺伝子検査ビジネスは急速なスピードで拡大を続けていますが、一方では科学的根拠の乏しい検査の存在や倫理問題が指摘されており、現状のままでは消費者に不信感を与える可能性があります。ジーンクエストでは、科学的根拠に基づいた信頼性の高い遺伝子検査サービスを提供することで、多くの方に正しい遺伝子の知識を持っていただいた上で、遺伝子研究成果の恩恵を受けられる社会の実現を目的としています。

当社には、遺伝子情報とあらゆる生活習慣や疾患に関するアンケートの情報が蓄積されています。これからのジーンクエストでは、医療機関、製薬企業、化粧品企業、食品企業などと共同研究の提携先を増やし、遺伝子の個人差を考慮した新サービスを生み出すことで、社会全体に遺伝子検査を受ける価値を提供していきます。

 



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「オーナー制度」の仕組みを利用したプラットフォーム

株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営統括責任者 谷川佳氏

昨年12月1日にサービスを開始したOWNERS(オーナーズ)。生産者に直接登録費を支払って期間オーナーになる「オーナー制度」の仕組みを利用したプラットフォームだ。これまでにOWNERSでは、果物・お米などの農産物や牡蠣や松茸、さらには日本酒・熟成チーズなどの加工品まで、北海道から沖縄にわたる幅広い生産物のオーナーになることができるプランが提供されてきた。

――昨年末、Facebookのタイムラインで「OWNERS」を見かけました。SNS等を通じて一気にサービスが認知された印象があるのですが、現在に至るまでの経緯を教えてください。

2015年6月頃から、OWNERSリリースのために勤めていた会社を辞めて、全国の生産者の元をまわり始めました。事業単独で起業するか事業として企業に売り込むかを模索していたのですが、以前より個人的にお世話になっていた株式会社エル・エス・ピーから支援を受けて、新規事業としてスタートすることになりました。

2015年12月1日にOWNERSをリリースした際、SNSの拡散やWBSなどのテレビ露出で一気に認知が広まりましたが、そもそも人に伝えたくなるようなサービスではないと継続していくのは無理だと思っていました。消費者と生産者をつなげる、という点では既に有名なサービスもある中で、新しい「オーナー制度」という切り口に興味を持ってもらえて良かったです。

――「オーナー制度」としての展開しようと思った理由はどこにありますか?

もとより、一次産業を活性化させて、人の生活を変えるビジネスをしたいというのがありました。
OWNERSを始めるまでは、自治体の企画やPRを行う会社に勤めていたのですが、そうしたプロジェクトベースの企画だと、どうしても短期的な盛り上がりだけで終わってしまったり、自治体の予算の都合で打ち切られることもあったりと、どうしても長期的な関係を築くのは難しかったんです。

一方、「オーナー制度」というもの自体はもとより生産者の間ではありました。しかし、いわゆるブランドのある産地でないと売れないとか、一区画で収穫できる生産物が何十キロも大量に届いたりと、現代のライフスタイルにマッチしていないと感じる部分が沢山あったので、なんとかこの制度を活かせないかと思い立ち上げました。

――これまでのオーナー制度との顕著な違いはどこでしょうか?

これまでのオーナー制度はそもそも紹介経由でないと生産者を見つけられなかったり、登録もFAXでしかできなかったりと、面倒な手続きの中で生産者を探す必要がありました。また登録をしても、収穫の時期に生産物が自宅に届くだけで、自分がオーナーになった生産物ができるまでの過程やそのプロセスが見えないものが一般的でした。OWNERSでは、そこを購入者の立場から見直し、どういう感情になれば、その生産物により「関わっている」という感覚を持てるかをを紐解いてサービスを組み立てました。

そこで生まれたのが「コミュニケーション」ができるという点で、実際のOWNERSではコミュニケーションページで、生産者から定期的に現在の生産過程や収穫の様子などが報告されます。そこにオーナーがコメントをして、生産者とやり取りすることもでき、生産者とオーナーの間に、いい関係が生まれ始めています。
オーナー特典の中には、登録した生産物が届くだけではなく、現地で生産者の収穫の手伝いができる「体験」を含めたプランもあります。普通にお店で買うよりも、生産者と購入者の距離をぐっと近付けることができました。

結果、商品ではなく、オーナーになるという体験やライフスタイルを楽しめるサービスになったと自負しています。

――現在、参加している生産者はどのような基準で提携されたのでしょうか?

もとからコネがあったわけではないので、立ち上げ時は、電話営業から始めました。
いわゆる「ECサイトを開きませんか」という営業の電話はよくあるようで、インターネットを通じて.. という言葉だけで拒否反応を示して切られてしまうことも沢山ありました。OWNERSは既存のECサイトではないということや、自分の想いをしっかりと伝え、ビジョンに共感してくれた生産者さんとパートナーを組みました。とは言っても、サービスリリース前は300件以上にアプローチしてパートナーとして組むことが出来たのは5件。数より内容で勝負しようと思っていましたが、それにしても苦戦しました。

リリース後の反響もあり、その後は全国の生産者の方々から「自分たちもOWNERSでオーナーを募集できないか」と連絡をいただくことが増え、現在では掲載待ちが出るようになっています。

行政だと平等性の担保が必要になるので、普通の生産者もこだわり抜いている生産者も一緒に扱わないといけないことが多いのですが、OWNERSでは、生産者の方が持つこだわりや、生産されるまでの物語の面白さで勝負できる方に絞ってお願いしています。

 


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スタートアップと市場を繋ぐ 世界ネットワークの支援体制

株式会社イントラリンク APAC事業開発部ディレクター ノエル・プリッチャード氏

株式会社イントラリンク(東京都港区)は、スタートアップやベンチャー企業の海外進出の支援を中心としたコンサルティングサービスを展開しています。1990年に英国で設立と同時に日本事務所を開設。主に英米スタートアップの日本、韓国、中国市場への進出を手助けしています。長年、アジアと欧米の両市場を橋渡してきたノウハウを生かし、近年は日本のスタートアップを世界に紹介する事業に力を入れています。「crewwとは非常に親和性を感じます」と流暢な日本語で話す同社APAC事業開発部ディレクターのノエル・プリッチャード(NOEL PRITCHARD)さんに、スタートアップの海外展開について話をうかがいました。

英国と日本で同時に開業、25周年を迎える

――英国のスタートアップと日本市場の橋渡しを担ってきたイントラリンクですが、近年は日本のスタートアップを米シリコンバレーや欧州市場に紹介する形が多いそうですね

イントラリンクは1990年に英国で創業していますが、古くから日本とは深い関わりがあり、昨年2015年11月には日本法人が25周年を迎えています。

もともとは、英国をはじめとした欧米のスタートアップを日本企業に紹介するのが主要業務です。欧米企業が日本市場への参入を考えた時、やはり日本語はもちろんのこと、日本の文化への理解がないと難しい面があります。その壁を取り除くのが我々の仕事です。現在、弊社のCEOをつとめるGREGORY SUTCHは日本に12年間にわたっておりましたし、日本に20名いる海外出身スタッフも全員日本語が堪能という特徴があります。

現在では、韓国や台湾、上海、ドイツ、米シリコンバレーにも事務所を持っていますので、英語や日本語以外に、韓国語や中国語、ドイツ語でも大丈夫ですよ。

これまで、各国で多数の業界にまたがる起業家やスタートアップ企業をはじめ、ベンチャーキャピタル、インキュベーター、大学関係者といった独自のネットワークを築いきましたので、現地での営業やマーケティング面、現地でのパートナー探しなど、世界的な規模でワンストップで対応が可能です。海外製品・新規技術のテクノロジー・スカウティングをはじめ、海外でのM&Aや共同企業体(JV)、事業投資の支援もお受けしています。

今も英米や海外から日本へ来るスタートアップも多いのですが、最近は逆に日本のスタートアップを欧米、韓国、中国市場へ紹介することに力を入れているところです。

――これまでに日本市場への進出支援してきた海外のスタートアップは、どのような企業が多いのですが

日本の事務所では現在、海外40社近くの“日本部隊”を担っていますが、これまでIT系だけでなくあらゆる業界のスタートアップの支援に携わってきました。ただ、最近はやはり「フィンテック」と呼ばれる金融テクノロジーや、位置情報技術を開発するような技術系企業が多いでしょうか。

たとえば位置情報技術の分野では、フィンランドで起業したIndoorAtlas(インドアアトラス)社があげられます。同社は地磁気によって精度の高い屋内ロケーションを実現する技術を持っています。スマートフォンに内蔵されているコンパス機能を利用し、それぞれの建物の磁場特性を察知して、位置を知らせるというユニークな仕組みです。日本ではヤフーさんにご紹介し、今年2月には事業提携を結ぶまでにいたっています。

ほかにも、弊社はNTTデータさんが主催するオープンイノベーションビジネスコンテスト「豊洲の港から」ビジネスコンテストにも協力させていただいており、第2回で「事業連携希望」となった Context360社を含め、弊社のネットワークを使って海外のスタートアップ十数社を集めました。

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イントラリンクのWebサイト

――逆に日本のスタートアップで、海外への進出支援を行ったケースはありますか

たとえば、インターネットバンキングの不正送金対策として大きな期待を集めている仕組みの一つに「スーパー乱数表」があります。これは、新しいタイプの乱数表を用いる革新的な二経路認証となっています。開発したバンクガード株式会社(東京都新宿区、藤井治彦CEO)さんも弊社のお客さまで、これまでに韓国市場での展開をサポートをさせていただきました。

シリコンバレーや欧州市場はもちろん、アジア各国に進出の際もご相談いただけたらと思っております。

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――ノエルさんご自身も日本での在住歴が長いですね

生まれは英国ですが、日本との関わりは大学で日本語を専攻したことに始まります。これまで通算12年以上は日本に住んだことになります。フランスにも住んだことがありますが、最近では英ボーダフォンからベライゾンに転職した時に東京へ赴任し、それ以来、日本住まいです。

そうした経緯もあって、日本のスタートアップが特に大好きなんです。日本の高い技術をぜひ海外市場へ紹介したくて、うずうずしています。実は私自身はイントラリンクへは“出戻り”する形で再入社し、日本で勤務しているのですが、やはりスタートアップと関わる仕事に就き、世界へ発信していきたいとの思いがありました。

――crewwは国内のスタートアップと大手企業を結ぶ役割ですが、海外進出支援という面でありがたい存在です

スタートアップの成長を支援する仕組みですので、crewwさんとは非常に相性が良いと思っていました。弊社とつながっている海外のスタートアップや大手企業などにcrewwをご紹介しようと考えています。

crewwに登録されているスタートアップの方で、海外展開を行う際はまずイントラリンクを思い出していただき、お声がけいただけましたら嬉しいですね。最近は日本でもエネルギッシュな起業家が多くなっていますので、「とりあえず日本で」と考える前に、ぜひ一歩を一緒に踏み出しましょうよ。

――ありがとうございました。
 

株式会社イントラリンクのwebサイト

 


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コルクがつくり上げるコンテンツメーカーの未来

株式会社コルク 代表取締役社長 佐渡島庸平

コンテンツのクリエイションには、作家と、それを支える編集者がいる。『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』『働きマン』『バガボンド』といった大ヒット漫画に携わってきた編集者として知られる佐渡島庸平さん。2012年9月に講談社を退職し、クリエイターのエージェント会社であるコルクを立ち上げた。

今、求められる境界線を越えるコンテンツメーカー

―― 今回はオフィスが神宮前に移転したばかりということですが、前のオフィスも明治神宮前でしたよね。オフィスが常に渋谷エリアであることには理由がありますか?
他の人にとっての遊びの領域にあるものが、僕らの仕事の領域です。オンオフという概念なく仕事ができることが理想なので、映画をフラッと観に行ってもいいと思います。休日にイベントに行った帰りに会社に立ち寄ったりしてもいい。それに、このエリアだと海外の方でもどんな場所かイメージができるんです。未だ先の話ですが、英語圏、中国語圏も同じ商圏として考えていく時のことも念頭に入れています。

2012年に起業してから3年ちょっと経ち、新しいオフィスになりました。そろそろコルクから大ヒット作を出せたらいいなとは思っています。

編集者であり続けるための独立

―― 佐渡島さんは、新卒で講談社に入り、ヒット作の編集者として活躍していたわけですよね。快適な環境から、自分で会社を立ち上げた理由を教えてください。

講談社を辞めることを決めたのは、『宇宙兄弟』実写映画の宣伝まわりの仕事が一段落して、あとは公開を迎えるだけ、という時でした。やりたいことはできるし、やりがいもありました。それにも関わらず辞めた理由は幾つかあります。

一つ目は作家と同じ船に乗りたかったからです。講談社にいた時も、作家と同じくらい作品に思い入れて仕事をしてきましたが、作家からすればそうは思えない、「いつかは離れ離れになる編集者」なわけです。こちらとしても担当する期間は自分では決められないので、自分が担当している間になんとかヒットを出したくなる。そうすると「作家人生のなかで、今、どのような作品を描くべきか」ではなく、「今、世間で当たるテーマでつくりましょう」というディレクションをしてしまう。僕は作家と何十年という軸で付き合っていきたかったんです。

二つ目は、作家の伝えたいことを届ける手段が「本」に限らなくなってきたことです。作家は頭の中に強烈な世界観を持っています。これまでは、その世界観を伝えるのは「出版」という形が主でしたが、編集者が本だけではなく、様々な形で伝達できるようになったんだというのを証明したかった。

三つ目は会社の看板を背負わないとできない、ということが減ったからです。むしろ社員でいると、受け持つ担当作家が変わったり、部署が変わったり、全く新しいやり方で動くということが難しかったりします。今では作家と直接コミュニケーションを取ることもSNSでできます。会社の看板がないと新人の発掘も難しかった時代から、やり方次第で繋がれる時代になりました。


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―― インターネットが、作家と編集者、作家とファンの関係性を変えたわけですね。

編集者としての仕事の領域も変わりました。売れている作品の売れる要素は、作品の質、作家の知名度、プロモーションといったものに分けられると思いますが、これまでは、編集者はコンテンツ制作に専念し、営業や書店がマーケティングを担うというように分かれていました。作家のアウトプットが本という形を取る必要がなくなったことで、この流れすら変わっていく。今こそ、その流れ自体をつくっていけるチャンスなんじゃないかと考えました。

「この人物がいなくなったら、この作品とプロモーションはすべて変わる」という、取り替えの効かない仕事をするところまで、今一度、編集者の価値を高めたかったんです。作家が作品自体を把握するなら、それ以外のすべてを把握する編集者になるために、出版社の編集者という立場を離れました。

―― そこまで思い入れが持てるのはなぜでしょうか?

楽しいからに尽きます。誰かの魅力を引き出して付き合っていこうという、せいぜい結婚くらいしかないようなことを他人とやる。それが僕にとっては、とても楽しいことなんです。

ITを活用したクリエイターエージェントのコルクに

―― コルクでは、安野モヨコさん、平野啓一郎さん、小山宙哉さんといったような方をエージェントされていますが、彼らのエージェントが決まった上で会社を設立されたのでしょうか?

当初、彼らのような大御所から自分の立ち上げた会社にエージェントの依頼が来ることは考えていませんでした。僕の場合、好きな人と本気で仕事をしたかっただけで、僕が見付けて作品を一緒に作っていこうとしていた漫画家の羽賀翔一さんだけでも独立しようと考えていました。ところが、こんな会社をつくろうと思っているということを打ち明けたら、それなら自分のエージェントもやってくれないかという作家がたくさん現れました。

文学や漫画の作家だけではなく、Webを中心に活躍しているAR三兄弟との出会いなどもあって、徐々に「作家エージェント」から、「クリエイターエージェント」になり、その手段もITを活用する方法含めて具体的に見えてきたところです。

―― クラウドファンディングや、作品に出てくるグッズをECで販売されていましたよね。

今までは、作家とファンの間に出版社がありました。僕自身も、ITを使った手法はほぼやったことがなかった。作家の価値を最大化するということは、編集者の頃から変わりませんが、インターネットを駆使して、ファンが直接クリエイターを支えることができる仕組みをつくっていきたいです。

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―― 何か参考にしているスタートアップや、海外の企業はあるんですか?

エンタテインメントとITというと、多くは動画ビジネスにいっているので、ひとりの作家と何かしていこうという企業は世界的に見てもないような気がしています。音楽は文字に比べて広がりやすいので、一概には言えませんが、テイラー・スウィストやレディガガはエンタテインメント×ITという組み合わせを上手にやっています。

出版社がたくさんの出版物の中からヒットを探すというビジネスモデルですが、コルクのようなエージェントは作家と一生付き合うつもりで付き合って、そのなかで大ヒット作品も出す。そのコンテンツを編み出す作家をファンが支えるという仕組みそのものを企業のひとつの雛形として提案していくところまで、会社を育てていきたいです。

幾つかのエージェント会社ができた方が健全ですし、コンテンツで勝負していくと業界自体が活性化します。コルクの社員が独立してやってくれてもいいくらいです。これからもネットとクリエイターの結び付けは活性化し続け、もっといろんな可能性が出てくると思います。技術や条件が整って、プレイヤーも増えることで、変化は突然やってくるでしょうね。

 



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テナント物件情報をITで結ぶ 大手チェーンからも熱い視線

株式会社オルトリズム 代表取締役 紙中良太氏

今も人手を使った情報収集と発信が中心の不動産業界。なかでも企業向けのテナント物件情報は、人伝いによるやり取りが中心となっています。そんな世界にITの力で変革を挑んでいるのが株式会社オルトリズム(東京都渋谷区)です。テナント企業間を直接つなげ、不動産業者を介さずにマッチングするという仕組みの「店舗市場」は、飲食店を多店舗展開する大手チェーンからも注目を集めています。代表取締役の紙中良太さんに起業の経緯とサービスへの思いをうかがいました。

ネット上には出回りづらいテナント物件

――一般の人が買ったり借りたりする住宅物件の情報は、インターネットで収集できますが、テナント物件の情報はネットで入手しづらいものですか?

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オルトリズムが展開する「店舗市場」は大手を中心に250社以上が登録している https://tenpoichiba.jp/

住宅物件の場合、誰もが知るような大手不動産業者が多数参入しており、インターネット上でも積極的な情報発信が行われ、ネットで家を探すということは一般的になっていますよね。

ところが、企業向けのテナント物件の世界となると、大手事業者の名前はほとんど出てきません。中心は中小事業者であり、どちらかと言えば狭い世界ですので情報が外に出てきづらい環境です。情報の透明性がなく、仲介会社もいるのですが、なかには、個人でテナント情報のやり取りだけを“商売”をしている方さえいるほどです。つまり、何にいくら払っているか、最終的にいくらかかるかが入居するまで見えません。

こうした現状を少しでも変えたいという思いで開発したのが弊社の「店舗市場」です。テナントさんだけが物件情報のやり取りをできるサービスで、不動産業者の方をはじめ、現在リアル店舗を持っていない方の登録はできません。

たとえば飲食店の場合、退店する際も設備などを残した「居抜き」物件としてやり取りできるため、閉店する側は現状回復をする手間が省けますし、開店する側もスムースにオープンさせることが可能となります。マッチングが成功すると、開店する側には賃料の1カ月分を成果報酬で頂戴しますが、退店する側には20万円のキャッシュバックをお支払いしています。知られていないと思いますが、仲介会社や個人を通すと、この費用が不明瞭で賃料1ヶ月分で済むことはありません。

ビルなどを持つオーナーの方にとっても、後継店舗がすぐに見つかるというメリットがあります。店舗市場に登録していただいている250社のなかには大手チェーンが多いため、大手同士で話が決まって、次もテナントに大手が入居してくれるとなると、オーナーの方も安心ができるわけです。

――企業向けテナント物件の情報をIT化するという目標を掲げて起業したのは、ご自身の経験が大きかったようですね

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中学生の頃から料理人になりたいとの夢があり、独立するためにとにかくアルバイトをしてお金を貯めました。高校を卒業してすぐに都内のフランス料理店で修業をさせていただき、その後に生まれ育った広島の西条(東広島市)に戻って念願の独立を果たしました。

鮮魚を中心とした料理店は盛況となり、上手くいっていたので次の店舗を出店したいと思ったんです。しかし、なかなか良い物件が見つからず、たとえ見つかったとしても二十歳そこそこの若造にはなかなか貸してはくれない。毎日深夜まで店を運営しながら店舗探しを続けていくことに疲れてしまいました。

この時の経験から、多店舗展開のノウハウを学ばなければ飲食店の経営はできないとの決意で再び上京し、急成長中だった飲食ベンチャーの門を叩きました。創業者である社長のもとに何度も通って会社へ入れていただけるよう直談判するうち、「そこまで言うならやってみろ!」と入社が認められ、店舗開発に携わるようになります。

当時、そのベンチャーでは、とにかく飲食店を多店舗展開しており、全国どこかで3日に1店は増やしていたほどです。願っていた新規出店部門の中心で仕事ができましたので、楽しくて仕方がなかったですね。日帰りで新潟から名古屋をまわり東京へ戻ってきたりして、全国を飛び回る日々でした。この時の経験と、不動産業者さんやテナントの方との人脈がなかったら現在の形で起業はできなかったと思います。

――飲食店チェーンの経営や多店舗展開のビジネスに魅力を感じつつ、2013年7月には起業に踏み切ります

その後、出店のペースが落ちてきて、自分の仕事が少なくなってきましたので会社を退職して独立しました。ただ、起業当初は何をするかは明確に決めておらず、さまざまな方とお会いしていくなかで、不動産業者の方などから後継テナントを見つけてくれないか、との要望をいただくようになります。

私の場合は不動産業者の視点ではなく、テナント側の立場で立地や物件の善し悪しを見る習慣が付いていましたので、テナントの方に物件を説明する際にも説得力があったようです。現在の店舗市場の基礎となるようなマッチングの仕事をアナログでやっていたわけです。

この時に感じた業界の不透明感や、マッチングの重要性をITを使って形にしたのが店舗市場でした。お陰様で大半は紹介営業で、参加企業が増えています。大手の方にも仕組みに共感いただけているのはありがたい限りです。

――事業の柱として店舗市場が手堅く成長させている一方で、別会社として「民泊」の分野にも進出されたそうですね

こちらもマッチングの仕事です。実は自社で実験的に民泊を運営したことがあるのですが、すごい反響があり、収益も出まして、市場に未来を感じました。現在は「民泊物件.com」というサイトで民泊を運営したい方のための賃貸物件をご紹介していますが、いい反応をいただいており、今後の成長が楽しみな分野です。

――crewwに参加したのはどのようなきっかけだったのですか?

古くは、弊社の取締役である宮里賢史が大学生時代に米カリフォルニアでcrewwの伊地知天さん(いじちそらと=creww CEO)と知り合ったのが源流のようで、その後、宮里が大手銀行の勤務を経て弊社に参加したので、自然な流れでcrewwさんに登録させていただいていました。

これ、すごくありがたいですよ。連絡したいと思っていた大企業にアタックできるのですから、スタートアップにはまたとないチャンスをくれるサービスです。実際、crewwコラボの参加を機にさまざまな大企業の方とマッチングいただいています。

――大企業との関係が深いオルトリズムさんならではの、彼らと付き合うノウハウはあるのでしょうか

ノウハウというものではありませんが、大企業とお付き合いを考える場合、規模の違いからスタートアップの方はどうしても「何かを与えてもらう」という期待感があると思いますが、弊社では逆に「自分たちから何かを与える」ことを必ず考えて行動しています。われわれから何かを与えられない時には会いに行きません。

また、相手は大企業とはいえ、人間ですからロジックだけでは動かないということは覚えておいた方がいいかもしれません。やはり、つながりが大事です。

――ありがとうございました

 



株式会社オルトリズム「店舗市場」の紹介ページ
紙中良太さんのcrewwでの紹介ページ

 


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自らつくりだす新しい出会い方、新しい働き方

株式会社レレレ 代表取締役 山本大策

空き時間に気軽にお茶できるサービス「CoffeeMeeting」や、気軽に空き時間を売買できるサービス「TimeTicket」といったサービスの運営を通じて、人と人との新しい出会いをつくってきた株式会社レレレ。

これらのサービスは、企画・デザイン・プログラミング・運営、すべてが代表の山本の手によってつくられ、リリースされている。

なにか、誰かとつくりたい、に応える「InstantTeam」

―― つい先日、2016年4月5日に「InstantTeam」をリリースしましたよね。おめでとうございます。

ありがとうございます。インスタントチームは気の合う人と緩く繋がる新しいコミュニティサービスで、スタートアップ、勉強会、サイドプロジェクト、趣味のチームを気軽につくることができます。

―― コミュニティサービスですね。特徴はどんなところにありますか?

「緩く繋がる」というのが肝なんです。というのも、β版の時に、「空き時間を有効活用しよう」という、少し意識の高さを求めるニュアンスのキャッチコピーにしたらうまく伸びなくて、コピーを変えたら伸びたんです。

登録してくれたユーザーは想定よりアクティブなので、登録者の母数を大きくすることが現状の課題なので、これからもっと登録しやすくします。

InstantTeam
気の合う人と緩く繋がる新しいコミュニティサービス「InstantTeam」

知見を実践で身に付け、サービスをブラッシュアップ

―― 「InstantTeam」以外にも、「CoffeeMeeting」や「TimetTicket」といったユニークなサービスをリリースしていますが、これらに共通するものは、「人と出会って、時間を有効活用する」ということですよね。こういったサービスのアイディアがあって、元々、起業したかったのでしょうか。起業に至るまでの経緯を教えてください。

大学卒業後、 カルチャーに興味があったこともありマスコミ志望でしたが、それは叶わなかったんです。そこで就職したのが、株式会社富士総合研究所(現みずほ情報総研株式会社)。このキャリアだと手に職がないと話にならないだろうと考えて、上司にお願いして、SEになりました。とはいえ、ディレクター的なことで、自分が手を動かして開発するということにはならなかったです。

2005年頃に「mixi」や「はてな」を見ていて、とても面白いと思ったのをきっかけに、個人的に自分が使いたいサービスをつくりはじめました。それがあって、2006年にフィードパス株式会社、2009年に株式会社リクルートメディアコミュニケーションズで開発職に就くことができました。 そんな風に企業に勤めつつ、個人的にサービスはつくっていたものの、最初は全然うまくいかないんです。

―― それは他に仕事をしているからうまくいかない、というのではないですよね?

はい。知見が自分に足りなかったからです。トライアンドエラーを繰り返して、PRや拡散の仕方、キャッチのつけ方がうまくなっていきました。会社のなかでつくりたいサービスを生み出していくのもひとつの手段ですが、自分の責任100%という環境のなかでやると自分の実力も分かります。

―― やはり、つくり続けていくと、開発はうまくなりますか?

そうですね。どんどん要領を得ていきます。それと、やるべきところまでやり切る胆力がつくんですね。以前はリリースしてダメだと諦めていました。それが手を加えていくことで潮目が変わるというのが分かってきたので、プロダクトマーケットフィットができるようになっていきました。

そうこうして軌道に乗ったサービスが、2012年2月にリリースした「CoffeeMeeting」。コーヒー1杯を飲む時間を一緒に過ごしたい人と出会えるサービスなのですが、これがうまく広がりだしたので2012年5月に株式会社レレレを設立しました。

TimeTicket
コーヒー1杯を飲む時間を一緒に過ごしたい人と出会えるサービス「CofeeMeeting」

その後は、2014年7月、空き時間を売買できるサービス「TimeTicket」をリリースしました。facebookのユーザーと相性が良かったのだと思いますが、拡散の勢いも強く、「TimeTicket」ではリリース後3ヶ月で約5,000枚のチケットが発行され、売れた時間の合計も1,000時間を超えました。

TimeTicket
空き時間を売買できるサービス「TimeTicket」

人の魅力を知るからこそ、束縛せず、自由に集まりたい

―― 人と協働することが好きで、幾つもサービスを展開していくと、社員を増やす方にも関心が行くと思いますが、複数人の会社にしないことにポリシーはありますか?

今はそのタイミングではないということが最も大きいです。

あとは「ひとつの会社でフルタイム」という働き方が、必ずしも現代の都会で働く若年層にフィットしているとは思いません。特にITの分野はプロジェクト毎に動いていく方が自然ですし、出社する必要がないことも多いですよね。会社で働きながら、「InstantTeam」でサービスを始めて、軌道に乗り始めたら起業するというのを提案したいというのもありました。今回の「InstantTeam」の先にあるものは、新しい働き方の提案ですね。

それに僕のやっているサービスは、どれもいろんなところに営業をかけてやっていくものではないんだろうというのもあります。組織の維持や意思に引きずられてサービスをダメにするようでは本末転倒なので、ひとりで、コワーキングオフィスに行くところに落ち着いています。


株式会社レレレ・山本大策CEOのCrewwページ
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