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「SENSORS IGNITION前夜祭」“起業家の挑戦”をテーマに4氏が本音を語る

「STARTUP IGNITION~起業家たちが挑戦し続ける理由」

日本テレビのテクノロジーエンタテイメント番組と連動した恒例の大型イベント「SENSORS IGNITION(センサーズイグニッション)2017」が虎ノ門ヒルズで行われた前夜、3月22日に初めてとなる前夜祭「STARTUP IGNITION(スタートアップイグニッション)」が開かれました。「起業家たちが挑戦し続ける理由」をテーマに、Synapse売却の背景や、Snapeeeの軌跡など、苦闘してきた細かな軌跡や失敗経験にまで踏み込みながら紹介する一方、登壇者からは自身の反省も踏まえた本音のアドバイスが飛び交う異例の展開。参加した約50人が興味深く聴き入りました。

 

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前夜祭の会場となった「虎ノ門ヒルズカフェ」

SENSORSが主催し、スタートアップ・コミュニティーを運営するcrewwが初めて企画した今回の前夜祭。満員となった会場の「虎ノ門ヒルズカフェ」では、参加者間のネットワーキングの場が提供される一方、メインイベントとして、3人の起業家にスタートアップメディアの運営者が聞き出すパネルディスカッションが行われました。

パネルディスカッションで4氏が議論

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左から池田さん、山本さん、神尾さん、田村さん

「起業家たちが挑戦し続ける理由」のテーマで行われた今回のパネルディスカッションに登壇したのは次の4氏。

株式会社レレレの創業者で、現在は求人サイト「キャリコネ転職」「キャリコネ」などを運営する株式会社グローバルウェイで「グローバルウェイラボ」の室長をつとめる山本大策さん

写真共有サービス「Snapeee(スナッピー)」で知られる株式会社マインドパレットの共同創業者で、昨年10月に創業したジャクール(JaQool)株式会社の取締役として活躍する神尾隆昌さん

学生起業家としてモバキッズ(現シナプス株式会社)を創業し、2017年2月からは新たにDMM傘下としてオンラインサロン「Synapse(シナプス)」を運営する田村健太郎さん

起業家3氏に加え、モデレーターは「起業家と投資家を繋ぐ」をコンセプトとし、国内スタートアップを支援してきたスタートアップ・ブログメディア「THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)」の共同創業者である池田将さんがつとめました。

“失敗経験”など聞きづらいことも話す

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終始なごやかな、というより常に本音のトークが繰り広げられた

パネルディスカッションでは3人の起業家に対し、モデレーターの池田さんが「普段は聞きづらいことを聞いていくのが今夜のテーマ」と、これまでの“失敗経験”を引き出しながら過去の経歴と現在の事業概況を尋ねていきました。

グローバルウェイの山本大策さんが会社員時代に個人で作ったのは、コーヒー1杯を飲む時間を一緒に過ごしたい人と出会える「CoffeeMeeting(コーヒーミーティング)」。同サービスが高い評価を得たのを機に独立し、株式会社レレレとして、個人の時間を気軽に売買できるサービス「TimeTicket(タイムチケット)」もリリースしています。

初めに作ったCoffeeMeetingについて、「ユーザ数は今も多いのですが、マネタイズ面では失敗したかもしれません」と話す一方、「CoffeeMeetingでユーザさんの信頼が得られたことで、次に出したTimeTicketの利用につながっている」と明かしました。

現在はレレレをグローバルウェイに売却。社内でも独立的な存在である「グローバルウェイラボ」のチームを率い、新たな働き方に関する新サービス開発を進めている最中だといいます。「レレレ時代はすべてを一人でやってきたが、限界も感じた。今はあえて自分がやらないようにしている」と話します。

ジャクール(JaQool)株式会社取締役の神尾隆昌さんは、“アジア版インスタグラム”として1400万人以上のユーザを獲得して話題を呼んだ写真共有サービス「Snapeee(スナッピー)」の生みの親として知られます。しかし、2016年6月には会社を任意整理に踏み切ることに。

「投資家の方々には損をさせてしまったのに、温かく見守っていただき本当にありがたかった」と振り返る一方、「起業時に戦略がないままサービスのユーザビリティ向上ばかりを追求してしまい、結果としてマネタイズができず、それが敗因となった」と反省の弁を述べました。

現在は、ケンコーコムの元社長として知られる後藤玄利さんらとともに、モバイル翻訳サービスを展開するジャクールを2016年10月に新たに立ち上げ、海外からの訪日客に向けたサービスを急ピッチで開発している最中です。

シナプス株式会社の田村健太郎さんは、一橋大学経済学部在学時の2007年に起業し、2009年にはWeb漫画の投稿コミュニティサイト「MANGAROO」を立ち上げるなど、電子書籍関連のビジネスを展開。2012年に方向転換し、オンラインコミュニティを簡単に構築できるオンラインサロンプラットフォームの「Synapse(シナプス)」 をリリースしました。

元ライブドアの堀江貴文さんら著名人が愛用するなど、Synapseはオンラインサロンのパイオニアとして誰もが知る存在ですが、開始当初は苦労し、「2年くらいは売れなかったですね……」と田村さん。「堀江さんが使ったことで爆発的に伸びたので、堀江さんに足を向けて寝られない」と会場を沸かせました。

そんなSynapseの好調ぶりを見て戦いを挑んできたのは、あらゆる分野で次々と新規事業を立ち上げることで知られるDMM。2016年2月に「DMMオンラインサロン(DMMラウンジ)」を開始し、Synapseと真っ向から競合することになります。

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前夜祭の会場には多数の参加者が詰め掛けた

なぜ競合相手に会社を売ったのか

SynapseとDMMのオンラインサロン分野での戦いについて、モデレーターの池田さんが質問を連続。田村さんは「ある日、亀山さん(DMM創業者の亀山敬司さん)の代理という方が訪ねて来られまして」と明かしました。これがきっかけとなって、2017年2月のDMMへの会社売却につながります。

「2年くらい頑張ってDMMと戦い続ければ、向こうが諦めるでしょうから、そういう選択肢もあった」と話す一方、「でも、DMMと一緒にやったほうが結局はユーザのメリットが大きくなるのではないかと考えた」と売却の背景を明かしました。

「で、いい感じに売れたんですか」と突っ込む池田さんに対し、田村さんは「満足はしています」と答えました。

DMMとSynapseの話題を契機にサービスとユーザの関係に話がおよび、巨大サービスの「Snapeee」を停止した経験のある神尾さんは「ユーザのケアが何もできず本当につらかった」と振り返り、「10社くらいに興味を持ってもらい、譲渡を検討しましたが、若い女性向けということもあって緻密な運用が求められます。他社では難しいことが分かり、断念せざるを得なかった。人生の負い目として今も反省しています」と吐露。

一方、山本さんは「(エンジニアなので)自分で作ったサービスを閉じるのは難しい」といい、「やっぱり自分は起業家には向いてないかもしれません、たまたまリクルート勤務時代に作ったサービスが人気が出ただけ」と分析しました。

一歩を踏み出せば、失敗しても何とかなる

失敗や反省も含め過去の経験が今のチャレンジにどう生きているかを尋ねる池田さんに対し、「投資家の話を全部信用しないこと。特にメディアの方は投資家の話を持ち上げ過ぎですよね」と山本さんが言うと、投資家とスタートアップをつなぐメディア運営者である池田さんが「ついに私に反撃が来てしまいました。すみません・・・」と頭を下げ、会場が湧きました。

起業について田村さんは「失敗しても何とかなりますし、応援してくれる人もいっぱいいる。とにかくやってみた方がいい」とアドバイス。神尾さんも「背水の陣とか命がけとか投資担当者はそんな言葉をよく使いたがりますが、命なんてかけたらダメ。やり切ってからの失敗を糧に、次の起業で恩返しするくらいの心構えでいないと」と言います。

山本さんも「会社を作る必要もないし、とにかく作りたいものを作って出してみればいい。もっと気楽に考えてみていい。その一歩を踏み出すことが大事なんです」と連続起業の重要性や起業のエコシステムに関する提言が次々と飛び出し、パネルディスカッション後も登壇者にアドバイスを求める参加者が相次いでいました。

 

STARTUP IGNITION(スタートアップイグニッション)
SENSORS IGNITION 2016 注目スタートアップの先端技術が集結!(2016年レポート)

 


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SENSORS IGNITION 2016 注目スタートアップの先端技術が集結!

crewwイチ推しのスタートアップをご紹介

日本テレビで土曜日深夜(日曜午前1時55分から30分間)に放送中の先端テクノロジーなどをテーマとした番組「SENSORS(センサーズ)」が大型イベント「SENSORS IGNITION(センサーズイグニッション)2016」を2月26日(金)に虎ノ門ヒルズで行いました。crewwでも、ユニークな技術開発を行っているスタートアップの皆さんにイベント会場への出展を呼びかけたところ、多くの方々にご賛同をいただきました。注目スタートアップが大集結した「SENSORS IGNITION 2016」のなかから、イチ推しのブースをご紹介します。

 

<Pick UP 01> オープンソースの可愛いロボットを作ってみよう!

株式会社プレンプロジェクト(PLEN Project)
展示内容:プリンタブルロボット「PLEN2(プレンツー)」
株式会社プレンプロジェクト(PLEN Project)
オープンソースロボ「PLEN2(プレンツー)」を持つ赤澤社長(左)

身長20センチ・重量450グラムほどの可愛らしいロボット「PLEN2」を展示していたのは、大阪市北区に本社を置くプレンプロジェクト(赤澤夏郎社長)。「自分で組み立て可能なオープンソースロボット」というのが大きな特徴で、プログラムや3Dデータはすべて公開されているため、そのデータと3Dプリンタを使って“完全自作”が可能です。「kibidango(きびだんご)」「kickstarter」などのクラウドファンディングでも大きな反響を呼び、多くの出資を集めています。

ロボットを作るには精細な“印刷”ができる3Dプリンタとプログラムの知識が必要なので、ちょっと敷居が高いな……と感じる人のためにはちゃんと「組立キット」も「完成品」も用意されています。3Dプリンタを持っている人向けにはモーターとコントロールボードのセットを販売中です。

株式会社プレンプロジェクト(PLEN Project)
3Dプリンタで「印刷」して組み立てることもできるので教育効果が高い

このオープンソースロボット「PLEN2」の活用が期待されているのが教育現場です。プログラミングの授業を行う学校が増えているなかで、ロボットを作りながら機械制御や電子回路などを学ぶことができ、さらに完成後はロボットで遊んだり、新たなプログラミングを加えて“育てたり”することも可能です。既に小中学校や高校での採用実績も増えつつあり、「面白いし歯ごたえもある!」と好評を集めており、これからの浸透に期待が持たれています。
(詳細はこちらhttps://creww.me/ja/startup/www.plen.jp

 

<Pick UP 02> “世界初”の超ユニークゲームはビジネス面でも有望

株式会社ピラミッドフィルムクアドラ(PYRAMID FILM QUADRA)
展示内容:脳波で動くクレーンゲーム「脳波キャッチャー」
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人の心を乱す(?)映像に心を乱さなければお宝をゲットできるものの、なかなか難しい!

体験者希望者の長い列が続き、ひときわ注目を集めていたのが、Webサイトの企画・制作や映像制作などを行う株式会社ピラミッドフィルムクアドラ(東京都港区、中島章社長)が開発した「脳波キャッチャー」。なんと、人間の脳波をキャッチしてクレーンゲームを行うという“世界初”の超ユニーク企画です。

プレイヤーは、「ニューロスカイ」という脳波計が埋め込まれたヘッドセットを付け、真正面に流れる映像を見るだけ……というゲームですが、画面には美味しそうな料理や、ちょっと変な画像、水着の女性などなど、人の心を乱すかのような映像が1分間流れます。興奮したら左、リラックスしていたら右というふうに、人の内心によってクレーンが動くのです。平常心でいられたら真ん中にあるお宝商品をゲットできるのですが、自分の心の動きがクレーンの動きに連動してしまうので、やっているほうはちょっと恥ずかしいかも。でも見ている人には結構楽しく、ニヤリ! としてしまいます。

株式会社ピラミッドフィルムクアドラ(PYRAMID FILM QUADRA)
ヘッドセットには脳波計が埋め込まれている

やる側も見る側も楽しいゲームですが、たとえば、観光地の風景や街並みなどを見てもらってどう感じるか商品デザインの好感度を測ってみるといったような形で、ビジネス面での応用も大いに期待できそうです。
(詳細はこちらhttps://creww.me/ja/startup/bwc.pfq.jp

 

<Pick UP 03> みんなを笑顔にしてくれる“人間カメラ”の神髄

メディアアーティストのエリック・シュウ
展示内容:人間カメラ「Touchy(タッチー)」
エリック・シュウ
「Touchy(タッチー)」をかぶっている人に10秒以上触れるとパシャリ!

香港出身で東京在住のメディアアーティスト、エリック・シュウさんを中心とするプロジェクトが開発したのは“人間カメラ”の「Touchy」。カメラを頭からかぶるという何とも風変わりなプロダクトで、実際にかぶってみると、昔のマンガに出てくるようなちょっと可愛らしいロボットのようになれます。

そう、これがTouchyの大事なところで、かぶると不思議な風貌になりますが、どこか親しみと驚きを与えてくれるので、「なに、なに? 誰がかぶってるの?」と近寄ってみたくなります。そして、かぶっている人の手や素肌に触れるとカメラのシャッターが開き、10秒間触れると、その場でパシャリ!と写真が撮影されます。そうして撮られた写真はなぜかみな笑っています。ここが人間カメラの神髄で、周りの人を笑顔にしてくれるのです。

エリック・シュウ
開発者のエリック・シュウさんも自ら会場でPR

会社での堅い会議なんかでいきなりかぶっていくと怒られそうですが、見知らぬ人が集まっている場で、みんなの表情が硬いなと思った時に使えば和むこと間違いなしです。アイスブレイクの力強い味方になるリアルなソーシャルデバイス。人が社会的な殻に閉じこもる状況を打ち破り、社会的な不安を癒すという大きな目的を持った開発がどう発展していくのか、今後に注目です。
(詳細はこちらhttp://touchtouchy.com/jp

 

<Pick UP 04> 新感覚「チェス」とiPad上で動くミニロボに興奮!

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展示内容:SPEED CHESS(スピードチェス)&iPadPro専用ロボット「TABO(ターボ)」
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ミニカーを思い出させるようなロボット「TABO(ターボ)」はiPad上で動く

会場で目立っていたのが「touch.plus(タッチプラス)」のブース。インタラクティブコンテンツが得意な株式会社バスキュール(東京都港区、朴正義社長)と、ロボット開発などの技術で知られるプログレス・テクノロジーズ株式会社(東京都江東区、中山岳人社長)の2社がタッグを組んだプロジェクトがtouch.plusなのです。今回は、バスキュール単体での「SPEED CHESS」と、両社の強みを生かした「TABO(ターボ)」を披露しました。

SPEED CHESSでのチェス盤に使っているのは“60点マルチタッチ”と“高速応答性”を併せ持つ大型のディスプレイ。6種16個の駒ひとつひとつに1回動かしてから次に動かせるまでの時間をセットすることで、2人のプレイヤーがリアルタイムに駒を動かし合いながら敵のキングを追いつめていくことを可能にしています。「高次元な判断力と瞬発力が要求される究極のマインドスポーツを楽しめる」というのが大きな特徴の新感覚ゲームです。

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SPEED CHESSは究極のマインドスポーツを楽しめる

一方、「TABO(ターボ)」は、どこかミニカーを思い出させるようなロボットで、これがiPad上を動き回ります。単に動かすだけでなく、2台のTABOをiPadをタップしながら動かして対戦する「相撲ゲーム」を楽しむこともOK。TABOには画面と接するタイヤの付近に超電性プラスチックを用いた3点のタッチセンサが付けられており、これが画面と接することで、画面内のコンテンツと連動する仕組みとなっています。

ゲーム要素をふんだんに盛り込み、わくわく感が多数詰まったこれらの開発。教育現場などでどう活用されていくのかが楽しみなところです。
(詳細はこちらhttp://touch.plus/

 

<Pick UP 05> ガラス・和紙の魅力でフィギュアを彩り“対話”を図る

株式会社テクマク(TECHMAC)
展示内容:「FIGURE STAGE(フィギュアステージ)」
株式会社テクマク(TECHMAC)
愛でる気持ちで「FIGURE STAGE(フィギュアステージ)」の周囲で手を泳がせることが大事

京都市内の“町家スタジオ”に本社を構える株式会社テクマク(京都市上京区、北口真社長)の展示は、先端テクノロジーが詰まった会場で唯一、日本の和と伝統をミックスさせた“異空間”を見事に演出し、海外のメディアからも注目を浴びていました。

今回出展した「FIGURE STAGE(フィギュアステージ)」は、フィギュアを“愛(め)でる”ための空間を創り出すプロダクトです。20センチ四方のガラスで作られた“ステージ”は、和紙とガラスと鏡によって彩られています。LEDによる赤・青・水色・桃色・緑・紫・白など多彩な光がガラスと和紙を通すことにより、柔らかな暖かみのあるグラデーションとなってフィギュアを照らします。

株式会社テクマク(TECHMAC)
「FIGURE STAGE」のブースはマスコミにも注目を集めていました
※同時展示「未来都市(反重力都市 屏風)」:企画制作/(株)京屋吉星 作/John Hathway

FIGURE STAGEの最大の特徴は“愛でる”という部分。和紙で装われた箱状のステージ付近を両手で優しく撫でるように空中を泳がせると、ステージの色や明るさが繊細に変化するのです。いい加減な気持ちで単に手を動かしただけでは、あまり変化が起きません。あえて、手から情報を読み取るというアナログなアプローチをとることで、フィギュアと人間のコミュニケーションを図ろうとの意図があるといいます。また、音楽再生の機能も持っており、フィギュアに合わせたBGMを流すことも可能です。

日本の伝統文化である和紙や光の工芸技術の魅力によって、日本が生んだ新たなカルチャーであるフィギュアとの“対話”を試みる、そんな斬新な発想がすごい! 今後、国内だけでなく、海外市場にどこまで日本文化の神髄を伝えることができるのか。京都の地からテクマクの世界挑戦が始まっています。
(詳細はこちらhttps://creww.me/ja/startup/FIGURESTAGE

 

<Pick UP 06> 「アナログ黒板」をデジタルに変える画期的アプリ

株式会社サカワ/面白法人カヤック
展示内容:ハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」
株式会社サカワ/面白法人カヤック
スマホを通じ普通の黒板に何でも映し出すことができる「Kocri(コクリ)」

大正8年創業という日本を代表する老舗の黒板専門メーカーである株式会社サカワ(愛媛県東温市、坂和壽々子社長)と、IT技術を面白く活用することにかけては天才的な面白法人カヤック(神奈川県鎌倉市、柳澤大輔CEO)がタッグを組み、生み出されたのがハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」です。

従来の大がかりな「電子黒板」とは異なり、スマートフォンもしくはタブレットにインストールしたこのアプリとプロジェクター、「Apple TV」の3つがあれば、従来の黒板を「電子黒板」に生まれ変わらせてしまうという、教育界にとって画期的なサービスを会場でアピールしました。

電子黒板は便利ではあるものの、そのコストや操作性の面から今も普及率が高いとはいえません。とはいえ、授業の現場でインタラクティブな動きが欲しいとの声が多いのも事実です。では、今の黒板を使って、そのまま電子黒板にしてしまおう――単純だけどきわめて分かりやすい発想を現実のものとしたのです。

株式会社サカワ/面白法人カヤック
こんな難しい日本地図をチョークで書くのは大変ですが、Kocriで映し出せばカンタン!

スマホがコントローラーとなり、スマホのなかにある教材や動画などを黒板に映し出せることはもちろん、方眼紙や五線譜などを映し出し、その上にチョークで書くこともできます。チョークで書くのが大変な構文や図形などもパッと黒板に映し出すことができるので、先生にとっては授業の幅が広がり、濃密な内容となりそうです。

漢字の「トメ、ハネ」を表現するためには、電子黒板では難しく、チョークで書く黒板が欠かせないと言われています。学校に不可欠な「アナログ黒板」を一気に電子化してしまう、そんなアプリ。学校現場で喜ばれることは間違いなさそうです。
(詳細はこちらhttps://creww.me/ja/startup/kocri