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「スタートアップと数十億規模の事業を」 国際航業がデモデイを開催

空間情報コンサルティングを事業の柱に据える国際航業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:土方聡)は、2015年11月に初めて実施した第一回国際航業crewwコラボの現状を報告と、次年度の概要について説明する「crewwコラボ2015 デモデイ&2016オリエンテーション」を東京・渋谷のイベント&コミュニティスペース「dots.」で7月21日夜に初めて開催。スタートアップや大手企業の担当者ら100人以上が参加し、リアルの場でコミュニケーションをはかる絶好の機会となりました。

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会場には100人以上が詰め掛けました

初コラボに予想を上回る数の会社・団体が応募

グリーン・コミュニティの実現を目指す日本アジアグループ傘下の国際航業は、空間情報コンサルティング事業を展開する1947年(昭和22)創業の老舗企業。まちづくりに携わる人々に高い知名度を誇り、多数の官公庁や民間企業を顧客に持っています。

いわゆる「BtoB」「BtoG(官公庁)」として知られる企業ですが、2015年11月に新たな事業展開を目指し、crewwを利用したオープンイノベーションを実施。多彩なスタートアップからの応募を得て、このうち8社とコラボを進めているところです。

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コラボへの期待を語る国際航業の土方聡社長

イベントでは、国際航業の土方聡社長が「2020年の先に向かって、スタートアップの方々と数十億規模の事業を一緒に作っていきたい」と意気込みを熱く語りました。続いて、Creww株式会社の代表取締役である伊地知天(いじちそらと)は「大企業とスタートアップの利害が一致するマッチングを成功させるためにcrewwが間に立ち、両者の成長を加速させていく」とあいさつ。

その後、2015年のオープンイノベーションに参加後に国際航業とのコラボを進めているスタートアップ8社・団体が現在の事業やコラボの進捗状況を発表しました。

高齢者の「未病」対策にアプリを活用

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レイ・フロンティアの澤田典宏取締役COO

最初に登壇したのは、行動情報を可視化する「SilentLog Analytics(サイレントログ・アナリティクス)」を展開するレイ・フロンティア株式会社(東京都江戸川区)です。人工知能などを活用してリアルタイムで人々の行動を分析が可能で、大地震などの有事の際に意思決定にも役立つといいます。国際航業のコラボでは、アプリを立ち上げているだけで行動が自動で記録される「SilentLogアプリ」を活用し、高齢者の未病対策に取り組んだ例が報告されました。

「最初はすぐに止めてしまうなどの問題はあったが、アプリを使った高齢者の6割が歩数増につながった。人気のゲームアプリ『ポケモンGO』と似ていて、外へ出て歩くので健康につながる」と澤田典宏取締役COOは話します。

国際航業新規事業開発本部の藤原康史さんは「当社ではこれまで災害に強いまちづくりや低炭素社会づくりに取り組んできましたが、近年は超高齢化社会に対応するため、高齢者が地域において健康で活動的に暮らせる新しいまちづくりを検討していたところにレイ・フロンティアさんから応募があった。まさに我が意を得たり、だった」とコラボにいたった経緯を紹介しました。

地方自治体のWi-Fiをアプリでつなぐ

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タウンWiFiの荻田剛大社長

続いて壇上に上がったのは、街中の無料Wi-Fiに自動接続してくれるアプリ「タウンWiFi」が人気を集めている株式会社タウンWiFi(東京都港区)です。

わずか2カ月間で90万ダウンロードを突破するなど支持が広がっており、荻田剛大社長は「Wi-Fi利用の比率を上げることで通信容量の制限から解放される。巷では“神アプリ”と呼ばれています」と紹介しました。

一方、地方自治体が各地で提供するWi-Fiサービスとの連携が次の課題となっており、官公庁に強い国際航業とのコラボにより、さらなる発展が期待されています。「現在、自治体との間に立っていただいており、感謝するばかりです」と荻田社長は言います。

国際航業の藤原さんは「タウンWiFiはユーザに便利であることはもちろん、管理者側にも有用なサービスが多く、各地での観光振興やまちづくりに活用してもらうために全国を一緒にまわっているところ」と話しました。

訪日観光客の行動分析が可能に

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ナイトレイの石川豊社長

株式会社ナイトレイはソーシャルメディア解析によって訪日外国人の観光行動を分析できる「inbound insight(インバウンドインサイト)」を展開しています。TwitterなどのSNS上に公開されている投稿内容をリアルタイムで解析。行動場所やクチコミ、国籍、性別、移動経路などを独自にデータベース化し、インバウンドマーケティングに必要となる裏付けデータを提供するサービスです。

国際航業とのコラボでも、データを軸に共同で商品開発などを行う予定だといいます。石川豊社長は「現在社内外を含めてニーズのヒアリングを進めながら、提案活動をしている」と話します。具体的には、自治体などに対する調査やコンサルティング業務をはじめ、国際航業が持つGIS(地理情報システム)データと連携して訪日外国人対策支援や共同レポート等のサービス開発を行っていく考えです。

国際航業の藤原さんは「まさにナイトレイさんはインバウンド観光によって地域活性化を進めている組織が求めているデータを持っている」とコラボにいたった理由を紹介しました。

可愛い支援ロボット「unibo」に期待

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ユニロボットの酒井拓社長

ユニロボット株式会社(東京都渋谷区)は、家族間の交流促進や生活を支援するとのコンセプトで生まれた人工知能を使った生活支援ロボット「unibo(ユニボ)」を展開しています。酒井拓社長は「まさに『ドラえもん』の世界観を実現しようという次世代型のソーシャルロボット」といい、2017年3月冬の発売に向けて開発が進展中です。

国際航業とのコラボでは、高齢者などに向けて、uniboを活用したセルフケアを支援するサービスを進めており、日常生活のリマインダーや、健康と食事の管理、日常会話や見守りなどを行う計画です。今後、国際航業と金沢大学、ユニロボットの3社による実証実験を行うことを検討していくといいます。

国際航業新規事業開発本部の長谷川浩司さんは「uniboは、とにかく可愛いと評判になっている。ユーザーに好まれることは、支援を目的とするツールにとって最も重要なポイント。」と、今後の開発への大きな期待を示しました。

競合も含めた貴重な購買データを収集

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BearTail(ベアテイル)の黒﨑賢一社長

全自動の家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」が話題を集める株式会社BearTail(ベアテイル、東京都千代田区)は、スマートフォンのカメラで撮影されたレシート類を約2000名のオペレーターが手入力することで、高い精度の読み取り率を誇ります。これまで120万超のダウンロード数にいたったといいます。

利用ユーザごとにさまざまな実購買データを得られるのが特徴で、「たとえば、『Tポイント』だと加盟店内におけるデータしか収集できないが、Dr.Walletはコンビニなど世の中にあまり出回らないデータも集められる」と黒﨑賢一社長は話します。

国際航業とのコラボでは、同社が展開する電気料金プラン最適化サービス「エネがえる」との連携をはじめ、同社が持つ空間情報データと連携し、商圏分析サービスなどを展開していく考えです。

国際航業の長谷川さんは「BearTailさんのデータを見た弊社の役員が『これはすごい』と驚いていた。競合のデータも取れるのは貴重だ」と話しました。

話題の音声認識を使って観光地振興に

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アイコトバの田中謙二社長

スマートフォンに向かって特定のキーワードをしゃべるとクーポンが提供されるサービス「しゃべってクーポン」が話題を集める株式会社アイコトバ(東京都渋谷区)。「グーグルの検索でも2割が音声によるものとなっており、これからは音声認識の時代。次に来るキーテクノロジーだ」と田中謙二社長は話します。

クーポンを発行するコストがほとんどかからず、なおかつユーザ自身が商品名などを“喋る”ことで認知度が向上する可能性が高くなります。安価で効果の高い集客サービスとして今後の浸透が期待されています。

国際航業とのコラボでは、自治体向けの観光PRにアイコトバの仕組みを活用していく予定だといい、たとえば、観光地でクイズ形式の質問などをスマートフォンに通知。それに答えるスタンプラリー形式で、特産品やグッズなどがもらえる形のサービスを考案中です。

国際航業の長谷川さんは「観光インバウンドやDMO(観光施策)などのコンサルティング調査業務などにも展開していきたい」と話しました。

ビジネス向けビデオチャット基盤を活用

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FacePeer(フェイスピア)の真鍋憲士取締役

続いて、ビデオチャットのプラットフォーム「FaceHub(フェイスハブ)」を展開するFacePeer株式会社(フェイスピア、東京都港区)から真鍋憲士取締役が登壇しました。

WebRTC(Web Real-Time Communication)という技術を活用することで、Skypeやgoogleハングアウトとは異なり、インストールやアカウント登録をせずにブラウザ上で手軽に使える点を説明。「ビジネス現場向けに使いやすくなるよう、『1対複数人』や『複数人対複数人』の通信を可能とするなど、さまざまな機能を追加して開発した」とFaceHubの特徴を紹介します。

国際航業とのコラボでは、自治体への営業支援や、導入済みソフトのカスタマーサポート、国際航業が展開するメガソーラーのメンテナンスにFaceHubを活用することが検討されています。

国際航業の長谷川さんは「FacePeerの多田英彦社長からとにかく熱いプレゼンテーションをいただいた」とコラボ時の様子を振り返っていました。

新たな形の防災を考える取り組み

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一般社団法人防災ガールの田中美咲代表理事

最後に登壇した一般社団法人防災ガール(東京都渋谷区)は、東日本大震災を機に若い世代への防災の必要性を伝えることの重要性を痛感。「防災をもっとオシャレにわかりやすく」とのコンセプトで全国の20~30代の女性中心として立ち上がった団体です。

これまで、渋谷区と共同で拡張現実技術を利用した位置情報ゲーム「Ingress(イングレス)」を活用した若者向けの避難訓練を企画するなど、これまでなかった視点から防災対策につながる活動を展開してきました。

防災・減災対策やまちづくりを得意とする国際航業との相性も良好で、「国際航業が持つ空間情報データを活用して、女性や若者に地図を好きになってほしい」とリクエストを受け新しいプロダクトを提案。「自分自身もIngressを使った避難訓練に参加したが、新しい形の防災を感じた」(国際航業・長谷川さん)とコラボが決定しました。

その第一弾として、3Dハザードマップを使ったトートバックを作成。国際航業とともにクラウドファンディングの「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」でプロジェクトを実施しました。

2016年コラボのテーマは社会課題の解決

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2016年のコラボ詳細を発表する国際航業の長谷川さん

8社・団体からの報告後、スタートアップとの窓口になってきた国際航業の長谷川さんと藤原さんが登壇し、2016年のcrewwコラボの詳細が発表されました。

今年は「社会課題の解決につながるビジネス」というテーマで、安全・安心や環境、気候変動、エネルギー、健康・福祉、まちづくり、技術基盤形成、食料、教育といった幅広い分野での課題に取り組むコラボを実現したいと紹介。

「社会に必要な事業にこそ、大きなビジネスチャンスがある。みなさん(スタートアップ)のパートナーとなる新規事業開発部のチームも新しいメンバーを加えて増強し、オフィスも新たに丸の内の国際ビルに構えた。(コラボに関する)予算もしっかりとったので、より大きな事業を一緒に作っていきましょう」(長谷川さん)と宣言しました。

crewwの担当者である李東徹は「2016年のコラボは事業化の可能性が高いテーマになっています。大きな構想を描いたうえで、ビジネスにつながる提案をお待ちしています」と会場の参加者に訴えました。

その後、会場では交流の場が設けられ、来場者が熱く語り合う様子も見られました。

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会場では参加者が交流する場も設けられた
 

2016年の国際航業によるcrewwコラボページ
レイ・フロンティア株式会社
株式会社WiFiシェア「タウンWiFi」
株式会社ナイトレイ
ユニロボット株式会社
株式会社BearTail
BearTail黒﨑賢一社長のcrewwインタビュー記事
株式会社アイコトバ
FacePeer株式会社
FacePeer多田英彦社長のcrewwインタビュー記事
一般社団法人防災ガール

 

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東京メトロの豊富な経営資源を開放する オープンイノベーションへ熱い意気込み

東京メトロ(東京地下鉄株式会社)がcreww(クルー)とともに行うオープンイノベーションプログラム「Tokyo Metro Accelerator 2016(東京メトロアクセラレーター2016)」の実施に際し、10月27日に都内でオリエンテーションを開催。首都圏の交通インフラになくてはならない同社が挑む新たな価値創造。約120のスタートアップが参加し、熱心な質疑応答が続きました。

東京の発展に寄与するアイデアを募集

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Tokyo Metro Accelerator 2016

Tokyo Metro Accelerator 2016は、東京メトログループが持つ1日707万人におよぶ顧客へのアプローチをはじめ、195.1キロの鉄道ネットワークと179の駅、337編成(2728両)の車両、駅構内にある店舗や商業ビル、駅構内の広告媒体やデジタルサイネージ、鉄道運行などに関するデータといった経営資源を解放することで、スタートアップとともに「東京の発展に寄与するための取り組みや事業」(同社)を創り出そうという試みです。

2016年10月31日(月)から11月9日(水)までの間にスタートアップからのエントリーを受け付け、11月11日(金)に1次選考、12月5日(月)の2次選考、12月15日(木)のプレゼンテーションと最終選考により、東京メトロとコラボレーションするスタートアップが選ばれるという流れになっています。

ローンチの有無や短期的な収益性の考慮不要

東京メトロでは、鉄道の安全運行や、コンプライアンスの遵守を前提に「可能な限り経営資源を解放する」(奥義光社長)との意気込みです。同社の事業と競合する可能性のある内容であったり、サービスのローンチ前であったり、コラボ後すぐに収益が見込まれない場合であったとしても「大丈夫ですので、応募してください」(同社)との姿勢です。

また、コラボ内容によっては、東京メトロと相互直通運転している各社に声をかけることもあるといいます。

crewwでは「今回のプログラムでは、東京メトロの課題を解決しようという視点は必要がなく、まずは自社サービスの成長や、東京の発展に寄与するためという考え方で応募してください」と呼びかけています。

一方で「法人個人問わずどなたでも応募可能ですが、単なるサービスの売込みではなく、コラボレーションであるという点に注意してください」(creww)といい、エントリー時には、2000字以内のテキストに(1)どのようなビジネス・サービスなのか、(2)狙っている市場やビジネスモデル、(3)短期的にやりたいこと、(4)中長期的な協業ビジネス、(5)座組みや役割、実施効果――といった点を盛り込んでほしいと説明しました。

東京メトロ・奥社長「つながり大切にしたい」

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東京メトロの奥社長

10月27日にベルサール六本木コンファレンスセンターで行われたオリエンテーションでは、東京メトロ奥義光社長や、crewwアドバイザーである出井(いでい)伸之・クオンタムリープ代表取締役、crewwCEO・伊地知天(いじちそらと)が登壇し、今回のイノベーションプログラムに関する意気込みが語られました。

東京メトロを代表して奥社長は「今回のイノベーションプログラムを通じ、スタートアップの方々とのつながりを大切にするとともに、互いの強みを発揮しながら新たな価値を創造していきたい」とあいさつ。「今から楽しみでわくわくしている」と期待感を示しました。

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クオンタムリープの出井氏

今年8月からcrewwのアドバイザーに就任したソニーの元社長で、クオンタムリープの創業者である出井氏は、日本のスタートアップやベンチャーを成長させるためにもっとも欠けているのが資金だといい、「大企業が資金提供者になるべきだ」と指摘。「すべての大企業が実践すればベンチャーはあっという間に育つ。その意味でも今回の東京メトロの取り組みは大変ありがたい」とエールをおくります。

「スタートアップにとって大きなチャンス」

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crewwのCEO・伊地知

東京の発展に寄与するアイデアを募集

crewwのCEOである伊地知は、これまでに70社以上の大手企業とイノベーションプログラムを行ってきたことを紹介し、「東京メトロさんが登場したことはスタートアップにとって大きなチャンスで、われわれもこれまでのノウハウや知見をフルに活用していく。多くの参加をお待ちしています」と呼びかけました。

また、今回のプログラムの責任者であるcreww執行役員の水野智之は、「東京メトロさんとプログラムを開催することは、crewwの企業アクセラレータープログラムを始めた時からの念願だった」と報道陣に明かしました。

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懇親会会場では活発なコミュニケーションが行われていました。

オリエンテーション後には、懇親会が行われ、東京メトロで今回のプログラムの審査委員長をつとめる髙山輝夫専務取締役が「社内が一丸となって、今回の取り組みを成功させたい」とあいさつ。参加したスタートアップと交流を深めました。

Tokyo Metro Accelerator 2016のページ(2016年10月31日~12月15日)

 


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生き方や働き方の多様性を実現するための器としての会社 ポーラスタァで実現する「子育てしながら働く」ということ

株式会社ポーラスタァ 代表取締役 高沖清乃

現代社会における女性の働き方を模索し、web会議やクラウドの活用で働き方の多様性を実現している株式会社ポーラスタァ。メンバーは現在7名。全員がママで、子どもの数は合計16人。全員が子持ちのメンバーのため、デュアルライフや移住の可能性の追求、副業推進、子どもの夏休みにあわせた長期休暇取得などを実施している。理想とも言える働き方の作り上げ方は?

――スタートアップといえば、急成長して、M&Aないし上場してイグジット、という絵を描くものですが、株式会社ポーラスタァの場合、サービス開発や従業員の環境作理に向かっていますよね。それを崩すような買収の話を断ったという話も伺いました。

何が本当の成長で、その時期のイグジットなのか、考えて答えを出している結果、今の会社の姿があります。

――莫大な利益を上げたり、媒体の数字を積み重ねたりするだけが、会社の社会的貢献ではないということですよね。

「ポーラスタァ」は北極星という意味なんです。航海のときに、たとえ地図がなくても”北極星”の位置がわかれば、目的地へ行くことも、家に帰ることもできます。わたしたちは、情報の海の中で「北極星はここだよ」と発信し続けることをミッションにしてきたのですが、それは経営の姿勢としても現れてきているのかもしれません。

例えば、私たちが10年前に会社を立ち上げ、8年前に媒体をスタートさせた当時と違い、現在は働くお母さんというもの自体が一般化しつつあります。だけど、まだ時間いっぱいオフィスにいて働くことが評価されるという事実もあると思うんです。それだと、子育てをしながら働く人には非常に不利なんですよね。

現在の子育ての、ボトルネックになっていることのひとつは「仕事」。正確に言えば、「仕事」そのものではなく、「働き方」だと考えていました。「こどもと本当はこんな風に過ごしてみたい」「本当はこんなママでいたい」というような想いを邪魔してしまうのも、残念ながら働き方が原因になることがありますよね。

会社だからといって、全員が同じ働き方をする必要はないし、制度で縛らなくてもいい。自分の状況やお子さんの状態によって働き方を変えられて、やるべきことをしていれば評価されるという会社があってもいいのではないかと考え、半期毎の面談により目標と働き方を決めています。大体週2~5日勤務ですが、時間や曜日は確定していませんし、テレワーク(リモートワーク)も取り入れてます。

――他社からの理解はどのように得ていますか?

クライアントには契約前から事情を伝え、納期には少し融通を利かせてもらえるようにしています。それで取れなかった仕事ももちろんありますが、当社を理解し、仕事を継続している会社は考え方が合う会社なので、より濃密な関係を築けています。

――それが実現できたのは、高沖さんご自身の体験が大きいのでしょうか? 昨年は、ヨーロッパや長野に家を建てていましたよね

はい。2015年、私が実家のある長野県伊那市に家を建てて、デュアルライフがスタート。東京の家を解約して、長野に移住するまでの間、1ヶ月ほど家族でヨーロッパを周りました。ヨーロッパに出かけたことがなかったので、フィンランド(ヘルシンキ)・エストニア(タリン)・イタリア(ローマ・トスカーナ・ヴェネツィア)・スペイン(バルセロナ)にステイをすることに。実際の暮らしのなかで文化や習慣を体感してみたかったので、ホテルではなくAirbnbを活用し、現地のアパートメントを借りて生活しました。

今回のインタビューでは語りつくせませんが、「自分の国の言葉」「違う国の言葉(しかも種類がある)」を認識し、違いを認めて、善悪ではなく相手と話したい一心で相手に通じる言葉で語ろうとする様子に人が本来持つ力のようなものを感じたり、私自身、現地の多様な間取りやインテリアを暮らしの中で体験できたり、実り多いものでした。

それに至るまでも2年ほどかけて、日本国中を旅行していました。きっかけは仕事がなにかと忙しく、つい家と保育園(会社)の往復になりがちだったので、まずは動いてみました。日本の中にも山がある場所、海がある場所、ビルが多い場所、雪が降る場所、年中暖かい場所、お年寄りばかりの場所など、いろんな場所があると、実体験を持って伝えられて良かったですよ。

子連れ旅行に関しては、「こととりっぷ」http://www.kototrip.com/という個人ブログにまとめています。

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――夢のような働き方が実現されていますが、サービスの方も次々と展開されていますよね。

働くお母さんのための情報誌である「ニンプス」を定期購読誌を妊娠月数別に臨月まで毎月発刊していました。この冊子を作る1年前からゼロスタートでWebを制作して、現在の月間のWeb訪問者は30万人程度まで伸びました。第1子だと国内では月間50万人が限界値なので、現状のこの数字が限界に近い状況です。「ニンプス」という認知は無いにしても、妊婦さんは妊娠中に1度はご覧になられていると考えていいのではないでしょうか。

特にWebは人をあおって動かす傾向があるので、その様な書き方は一切しないと決め、ネガティブではなく明るくポジティブな内容にし、未来に対して明るく前向きになれるように作っています。

――そこにも数字至上に陥らない想いがあるんですね。そこから、幾つかのサービスをリリースし、2015年2月にフォトアプリ「Baby365」をリリースされましたよね。

Baby365は、 いくつもの印刷所から「難しすぎる」「うちではムリ」と断わられていたんです。アプリの制作はどんどん進んでいるのにフォトブックの見通しが立たないなど、困難はありましたが形にすることができました。今後はたくさんの方の工夫や想いが詰まったこのサービスを展開していきたいと思っています。

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photo by 平林直己

 



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立ち上げから運営、投資面までネットメディアを一気通貫支援

株式会社メディアインキュベート 代表取締役 浜崎正己氏

株式会社メディアインキュベート (東京都中央区)は、その名の通りインターネットメディアを展開する事業者に向け、取材や編集、書き手の手配といった実務面を始め、マネタイズや投資にいたるまで一気通貫の総合支援企業を目指し、今年(2016年)3月に創業しています。メディア運営経験が豊富な代表取締役の浜崎正己さんに、現状と今後の展開について伺いました。

新聞社のネット版から動画CGMまで多彩な経験

――浜崎社長はさまざまなメディアに携わってこられたとのことですが、起業までにどのような道を歩んで来られたのでしょうか

大学時代は「メタバース」や「セカンドライフ」などのキーワードで当時話題となったインターネット上の仮想世界に興味を持ち、研究をしたことを契機にネットの世界を知ることになりました。ただ、卒業後に就職したのは、建機レンタルの大手企業です。

入社したのが2011年の春でしたので、東日本大震災の復旧や復興需要でとにかく多忙でした。この時の営業マンとしての経験は後に生きてくるのですが、やはりネット業界で働きたいとの思いが募り、大手商社系のデジタルメディア企業に転職しました。

この会社は通信キャリアの公式サイトを請け負う事業や電子書籍の流通事業、広告代理店事業を得意としていたのですが、そこで著名夕刊紙のサイトを担当させていただくことになりました。もともと新聞記者になりたいとの夢もありましたので、とにかく仕事が楽しく、やりがいがありましたね。

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――新聞社のネットメディアに携わったことが後のメディア支援業につながるのですね

現在、この夕刊紙のサイトは飛躍的に発展しているのですが、紙でやっている新聞のネットメディア刷新に携われたことは大きな財産になっています。会社は離れましたが、お付き合いは続いています。

――その後はいわゆる著名な“ネット企業”で勤務されています

GMOモバイルやザッパラス、ユーチューバーのマネジメントで知られるUUUM(ウーム)などで勤務し、ポータルサイト運営や動画メディアに携わりました。新聞からポータル、動画CGM(消費者生成メディア)まで多彩なメディア運営の現場にいられたことは幸運でした。

このほか、韓国のコミュニティメディア企業が日本法人を立ち上げる際に創業メンバーとなり、韓国本社に滞在していたこともあります。ここでは、スタートアップの熱気というものを肌で感じることができました。

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メディアインキュベートのWebサイト http://media-incubate.com/

――そして、今年(2016年)3月30日にメディアインキュベートの創業に踏み切ります

ネットメディアの新規事業を立ち上げたいとの思いを常に秘めていましたので、「そろそろ」ということで、自らが生まれて1万日目に会社を設立しています。

スタートアップの世界では、著名な支援企業としてサムライインキュベート(榊原健太郎CEO)さんがありますが、まさにサムライさんの“ネットメディア支援版”になりたいとの思いから、メディアインキュベートという社名をつけました。

――メディアの立ち上げや運用を支援し、メディアに特化した投資を行うとのことですが、具体的にどのような事業を展開していますか

ネットメディアの立ち上げという部分は、すでにいくつかの話が進んでいて、この秋にもスタートするVR(バーチャルリアリティ)専門メディアに深く関わらせていただいています。

運用面では、記事の提供や書き手(ライター)、クリエイターのアテンドといった編集面をはじめ、育成講座なども行っています。メディアのコンサルティング業務もお受けしており、大手新聞社からもご依頼をいただいています。

このほか、メディア運営面では、他企業と連携してメディアに最適化したCMS(コンテンツマネジメントシステム)も開発中です。

加えて、起業に関するイベントを定期的に開いたり、アーティストへの支援業務といった点までカバーしたりしています。今後はメディアや運営企業への投資という面にも力を入れていきたいと考えているところです。

――自社がメディア運営を行うこともあるのですか

はい、メディアインキュベートマガジンというメディアを立ち上げており、特に「地方創生」に興味を持っていますので、そうした内容を中心に取り上げています。

また、8月からはサイバーエージェントが運営する映像配信プラットフォーム「FRESH! by AbemaTV(フレッシュbyアベマTV)」に公式チャンネルを開設し、ゲストの方々を招いての対談やインタビューなどをまじえた番組を作り、定期的に生中継を行っているところです。

会社としては、ネットメディアのなかでも特に「動画」という部分に注目して支援にも力を入れていきたい考えです。

――crewwとはどのように出会われたのでしょうか

登録したのは2年くらい前で、まだ起業する前だったと思います。最近は大手新聞社やテレビ局などのメディア企業がcrewwでオープンイノベーションを行っているケースも目立っていますので、われわれもこれから積極的に応募しなければと思っています。

スタートアップが単独で大企業とお付き合いするのは難しい部分が多々ありますので、“文脈”を作って懸け橋となっていただけるcrewwさんの仕組みは大変ありがたいですよね。

――さまざまな企業で勤務し、大手企業とともにメディア運営業務を行ってこられたなかで、スタートアップが大手企業と付き合うために、気を付けるべき点などのアドバイスをお願いいたします

アドバイスと言うとおこがましいのですが、私自身が感じたことは、大きな組織であっても、最終的には人と人のお付き合いだということです。当たり前ですが、互いのメリットが一致するような付き合いをしなければならないと強く感じています。

――ありがとうございました

 

株式会社メディアインキュベート・浜崎正己さんのcrewwページ



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ビジネスとアカデミズムに相互発展のスパイラルを起こしたい ジーンクエストが他のバイオベンチャーと一線を画している理由

株式会社ジーンクエスト 代表取締役 高橋 祥子(PhD)

遺伝子解析や、遺伝子治療、遺伝子検査、そしてそれを取り扱う企業は新しい分野として、ずっと着目されていたものの、今、ジーンクエストが話題になる理由はどこにあるのだろうか。

――ジーンクエストは2013 年 6 月に東京大学の研究者が中心となって設立されたバイオベンチャー企業ということで、高橋さんは、大学院在学中に起業されたんですね。起業して味わった苦労はどんなことがありますか?

起業に伴い、何もかもが苦労の連続でした。なぜなら、一度も就職しなかったので社会のことを知らずに起業したためです。業者さんとのやりとりや、WEBサービスや事業の作り方、営業の仕方も何も知らない状態から始めました。ビジネスマナーもよくわからず…そのため、自分の失敗経験から、直接多くのことを学びました。経営の本を読むことでも勉強をしました。

また、人脈もゼロの状態から始めましたので、1人で学会に参加して知見の豊富な大学教授に相談をしに行ったり、自分から経営者の講演に行って、その後に名刺を持って話を聞いてもらえるよう試みたりしました。やはり多くはその場の受け答えだけで流されてしまいましたが、なかには話を聞いていただき、親身に相談に乗ってくださる方もいました。何とか事業を立ち上げることができたのは、当時からたくさんの方々に支えていただいたからです。

――2014年1月には一般消費者向けの遺伝子解析サービスを開始していますね。もう少し具体的に教えてもらってもいいですか?

解析キットを購入し、唾液を送付していただくことで、生活習慣病などの疾患リスクや、体質に関わる情報など、最大約290 項目についての自身の遺伝情報を知ることができます。具体的には、がんや2型糖尿病やアトピー性皮膚炎、骨粗鬆症など多くの病気リスクのほかに、アルコールに強いかどうかや痛みの感じやすさ、記憶力や乳糖耐性、骨密度などの遺伝的な体質などです。このように、自分の健康リスクを事前に知っておくことで、事前に自分の体質やなりやすい病気を把握・予防することができます。

また、自分の祖先がいつ誕生したのか、どこで誕生したのかなど祖先の歴史を知ることもできます。自分のルーツを探ることができるのも遺伝子検査の魅力のひとつです。

――遺伝子解析サービスは幾つか出てきていると思いますが、ジーンクエストに顕著な特徴を教えてください。

ジーンクエストのサービスの特徴は、日本人や日本人を含むアジア人を対象とする科学論文を情報の根拠として使用し、日本人やアジア人向けの大規模遺伝子解析を行っていることです。
当社では市販のDNAチップを独自に改変し、日本人の疾患や体質との相関について科学的根拠のある遺伝子を解析対象としています。

また、他社では追加サービスを受ける際に費用が発生することが多いですが、ジーンクエストは研究が進んで新しい知見が整ったときに、それに伴って無償でメニューを追加するサービスも行っています。

サービスに使われる遺伝子データはごく一部ですが、私たちはお客様の同意も得た上で、約30万箇所の遺伝子を調べ、データを蓄積しています。まだ機能がわかっていない遺伝子についても研究を行っており、その研究の成果が更新されれば、その知見に合わせて結果も更新されます。

今後どんどんユーザーが増え、新たに膨大なゲノムデータが蓄積され、それによりさらに研究が進んで、新たに見いだされた知見を消費者へ還元する、という、ビジネスと研究のシナジー効果を生み出していきたいという想いが、私が起業したきっかけでもあります。

――ビジネスとアカデミズムを相互に作用させていくということですか?

はい。私は、東京大学大学院で大規模な遺伝子解析を活用して生活習慣病の予防メカニズムについて研究していましたが、「研究者として生命科学分野を発展させたい」という想いを持ちながら、「その研究成果を社会に持続可能な形で発展させられるような仕組みをつくりたい」と考え、そこで辿り着いたのがジーンクエストのビジネスモデルです。コンシューマー向けの遺伝子解析ビジネスを提供しながら、遺伝子情報において、特化した社会的研究を行うことのできるジーンクエストを起業することで、間違いなく生命科学の分野の研究を加速できるという確信がありました。

――遺伝子検査に対して、倫理的な問題やビジネスの障壁もありますよね。妊娠前検査も議論になりがちだと聞いたことがありますし、精神疾患の可能性といった情報が差別に繋がっていくこともあるでしょうし、それに個人情報という意味でも遺伝子情報は究極の個人情報になりますよね?

個人のゲノム情報を扱うということは、情報が明らかになることで遺伝子による社会的差別につながり得るというリスクがあり、そのため、遺伝子情報の管理の仕方などが適切に議論される必要があると感じています。
ゲノム情報を今後どう扱っていくかはようやく議論が始まったところで、まだ社会に倫理的基盤が形成されていないという問題があります。実際は、技術の発展が早すぎて、人の認知も議論の時間も追い付いていないのが現状です。日本では、義務教育にもヒトゲノムの内容は入っていません。このように、教育によって倫理の形成に先手を打てるようにすることも重要だと思います。

――遺伝子検査のユーザーの母数が増えなければ、データベースが充実しない。そこの認知と倫理を醸成していくのがポイントなんですね。

はい。当社の目的のひとつに、「遺伝子の研究を推進し、正しい使い方を広め、人々の生活を豊かにすること」があります。遺伝子検査ビジネスは急速なスピードで拡大を続けていますが、一方では科学的根拠の乏しい検査の存在や倫理問題が指摘されており、現状のままでは消費者に不信感を与える可能性があります。ジーンクエストでは、科学的根拠に基づいた信頼性の高い遺伝子検査サービスを提供することで、多くの方に正しい遺伝子の知識を持っていただいた上で、遺伝子研究成果の恩恵を受けられる社会の実現を目的としています。

当社には、遺伝子情報とあらゆる生活習慣や疾患に関するアンケートの情報が蓄積されています。これからのジーンクエストでは、医療機関、製薬企業、化粧品企業、食品企業などと共同研究の提携先を増やし、遺伝子の個人差を考慮した新サービスを生み出すことで、社会全体に遺伝子検査を受ける価値を提供していきます。

 



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オープンイノベーション加速へ向け キヤノンMJが社内で大規模報告会

キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は2016年4月からに開始したCreww(クルー)のオープンイノベーションプログラムについて、コラボレーションを予定するスタートアップ3社を招き、自社とグループの社員向けに進捗状況の報告会を8月4日に行いました。当日はキヤノンMJの品川本社に約60名が集まったほか、全国のグループ社員にもライブ中継を実施。スタートアップとの共同展開を見据え、熱心に耳を傾ける姿が見られました。

スタートアップ67社から応募を集める

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キヤノンマーケティングジャパンでオープンイノベーションを担当するチームメンバーと報告会の登壇者ら

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キヤノンMJの品川本社には同社社員やグループ社員ら約60名が集まった

「製品販売を超えた価値創造を」とのテーマで2016年4月に始まったキヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)によるCreww(クルー)のオープンイノベーションプログラムでは、予想を大きく超える数のスタートアップから応募が集まりました。

夕方18時前から始まった社内向けの説明会では、キヤノンMJでスタートアップとの窓口となっている総合企画本部経営戦略部部長の横坂一さんが「エントリーいただいた数十社の中から、6社がプレゼンテーションに進み、現在は3社とプロジェクト化を進めている最中」という現状とともに、これまでの経緯を丁寧に説明しました。

続いてCrewwの担当者である李東徹が登壇し、世界におけるオープンイノベーションの動向を解説。そのうえで、キヤノンMJが行ってきた取り組みについて「各カンパニーからメンバーが集まり、オープンイノベーションのチームを結成したケースは非常にめずらしい」と紹介しました。

「EOS」とビジネス動画ソリューション

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フレイ・スリーの石田貢CEO

キヤノンMJと取り組みを始めているスタートアップのなかで、最初に登壇したのは、3ステップで簡単にビジネス動画を作成できるソリューション「1Roll for Business(ワンロール・フォー・ビジネス)」が話題を集める株式会社フレイ・スリー(Hurray3、東京都港区)の石田貢代表取締役CEOです。

フレイ・スリーは、 CMの映像制作を軸とした事業を展開するピラミッドフィルムグループから2012年に生まれたスタートアップ。“短時間映像のプロ”として蓄積したノウハウを応用し、誰もが手軽にプロの動画を作成できるサービスを展開しているのが特徴です。

石田CEOは「1Roll for Businessでは不動産や人材採用、教育、eコマースなど、業種ごとに500を超えるテンプレートを用意しており、自社で簡単に動画作成ができることから、様々な業種で導入が増えている」と紹介しました。

動画撮影デバイスを取り扱うキヤノンMJとの相性は良好で、今後はそれらのデバイスと1Roll for Business との連携も見据えながら、法人顧客における動画作成ニーズを開拓していく計画です。

IoT時代ならではのサービスと連携

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Z-Worksの小川誠社長

続いてプレゼンテーションに臨んだ株式会社Z-Works (ジーワークス、東京都新宿区)の小川誠代表取締役社長は、「IoT(アイオーティー=Internet of Things)」と呼ばれる“モノのインターネット”時代の進展を見据え、様々なセンサーを活用した家庭向け「スマートホームIoT」の各種サービスを紹介しました。

同社の特徴は多種多様なセンサーを連携させるクラウド型のIoT基盤を提供していること。センサーを通じてデータをクラウド上に集めて解析し、スマートフォン(スマホ)上からのデータ閲覧や遠隔操作などを可能としています。

「こうしたIoT技術を活用することで“頑張らずとも続けられる介護”が実現できる」と小川社長は言います。その一つとして、同社が開発した「LiveConnect(ライブコネクト)」を紹介。リアルタイムで家の状態が確認できたり、生活の不安を解消したりできる機能を備えたアプリで、介護時の見守りサービスへの活用が期待されています。

このほか、部屋の鍵や管理への展開も容易なため、一般の民家を宿泊場所として活用する“民泊”や不動産業界などに展開することも視野に入れているといいます。今後、介護分野を中心として、キヤノンMJグループと幅広い分野での連携が期待できそうです。

法人市場でニーズが広がる音声認識

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Hmcommの三本幸司社長

3社目として登壇したのはHmcomm(エイチエムコム)株式会社(東京港区)の三本幸司社長。動画・音声コンテンツをアップロードするだけで、自動的に音声を文字データ化する法人向けの音声認識サービス「The Voice JP」を紹介しました。

同社は国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)で開発された技術の移転を受けた「産総研技術移転ベンチャー企業」として知られています。

「音声認識の市場は大幅な拡大が予想される」と話す三本社長。同社の特徴は、AI(人工知能)をとりいれた音声認識プラットフォームを構築していることです。自然な発話での音声認識を実現する音響学習技術をはじめ、社内データやインターネット上のテキストデータから最新用語や話題の学習を行うことで、日々認識機能が進化し続けていくため、ビジネス現場で活用するうえでも大きな強みとなりそうです。

現在、キヤノンMJとのPOCが実施されており、キヤノンデバイスとの連携ソリューションなど、ビジネスシーンへの応用を検討しています。

大手企業の事例紹介や本音での議論も

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NTTデータの残間光太朗さん

今回の社内向け説明会では、協業を予定するスタートアップの紹介だけでなく、大企業でオープンイノベーションに取り組んでいる事例として、NTTデータからイノベーション推進部オープンイノベーション事業創発室長の残間光太朗さんを招きました。

残間さんはNTTデータでオープンイノベーションを推し進める一環として、「豊洲の港から」という定期イベントを企画したことでも知られています。これまでの経緯や知見を紹介するとともに、「さまざまな人々を巻き込んで、日本から世界を変えるソリューションを生み出したい」という目標や意義を熱く語りました。

その後、登壇したスタートアップ3社と残間さん、キヤノンMJで新規事業の創造・推進を担当する総合企画本部経営戦略部新規ビジネス推進課課長野間隆運さん、司会としてCreww担当者の李をまじえた6人で「事業創造の取り組み」をテーマにパネルディスカッションも開催。起業の経緯や、スタートアップ企業と大企業の協業のあり方など、時に本音の話も飛び出す白熱した議論が交わされました。

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キヤノンMJの野間隆運さん

キヤノンMJの野間さんは、「オープンイノベーションを行うまでに2年間の時間を要し、これからもハードルは出てくると思うが、何とか乗り越えていきたい」と宣言し、会場に集まった社員やグループ企業の社員に対し「ぜひ輪のなかに入って、応援してほしい」と語りかけ、オープンイノベーションの成功へ向けてさらに多くの社員を巻き込む意欲を見せていました。

 


キヤノンマーケティングジャパンによるcrewwコラボ(2016年4月)
フレイ・スリー代表取締役CEO・石田貢さんのcrewwページ
株式会社Z-Worksのcrewwページ
Hmcomm株式会社「The VOICE JP」のcrewwページ
NTTデータのオープンイノベーションフォーラム「豊洲の港から」の紹介
キヤノンマーケティングジャパン・野間隆運さんのcrewwページ

 
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「オーナー制度」の仕組みを利用したプラットフォーム

株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営統括責任者 谷川佳氏

昨年12月1日にサービスを開始したOWNERS(オーナーズ)。生産者に直接登録費を支払って期間オーナーになる「オーナー制度」の仕組みを利用したプラットフォームだ。これまでにOWNERSでは、果物・お米などの農産物や牡蠣や松茸、さらには日本酒・熟成チーズなどの加工品まで、北海道から沖縄にわたる幅広い生産物のオーナーになることができるプランが提供されてきた。

――昨年末、Facebookのタイムラインで「OWNERS」を見かけました。SNS等を通じて一気にサービスが認知された印象があるのですが、現在に至るまでの経緯を教えてください。

2015年6月頃から、OWNERSリリースのために勤めていた会社を辞めて、全国の生産者の元をまわり始めました。事業単独で起業するか事業として企業に売り込むかを模索していたのですが、以前より個人的にお世話になっていた株式会社エル・エス・ピーから支援を受けて、新規事業としてスタートすることになりました。

2015年12月1日にOWNERSをリリースした際、SNSの拡散やWBSなどのテレビ露出で一気に認知が広まりましたが、そもそも人に伝えたくなるようなサービスではないと継続していくのは無理だと思っていました。消費者と生産者をつなげる、という点では既に有名なサービスもある中で、新しい「オーナー制度」という切り口に興味を持ってもらえて良かったです。

――「オーナー制度」としての展開しようと思った理由はどこにありますか?

もとより、一次産業を活性化させて、人の生活を変えるビジネスをしたいというのがありました。
OWNERSを始めるまでは、自治体の企画やPRを行う会社に勤めていたのですが、そうしたプロジェクトベースの企画だと、どうしても短期的な盛り上がりだけで終わってしまったり、自治体の予算の都合で打ち切られることもあったりと、どうしても長期的な関係を築くのは難しかったんです。

一方、「オーナー制度」というもの自体はもとより生産者の間ではありました。しかし、いわゆるブランドのある産地でないと売れないとか、一区画で収穫できる生産物が何十キロも大量に届いたりと、現代のライフスタイルにマッチしていないと感じる部分が沢山あったので、なんとかこの制度を活かせないかと思い立ち上げました。

――これまでのオーナー制度との顕著な違いはどこでしょうか?

これまでのオーナー制度はそもそも紹介経由でないと生産者を見つけられなかったり、登録もFAXでしかできなかったりと、面倒な手続きの中で生産者を探す必要がありました。また登録をしても、収穫の時期に生産物が自宅に届くだけで、自分がオーナーになった生産物ができるまでの過程やそのプロセスが見えないものが一般的でした。OWNERSでは、そこを購入者の立場から見直し、どういう感情になれば、その生産物により「関わっている」という感覚を持てるかをを紐解いてサービスを組み立てました。

そこで生まれたのが「コミュニケーション」ができるという点で、実際のOWNERSではコミュニケーションページで、生産者から定期的に現在の生産過程や収穫の様子などが報告されます。そこにオーナーがコメントをして、生産者とやり取りすることもでき、生産者とオーナーの間に、いい関係が生まれ始めています。
オーナー特典の中には、登録した生産物が届くだけではなく、現地で生産者の収穫の手伝いができる「体験」を含めたプランもあります。普通にお店で買うよりも、生産者と購入者の距離をぐっと近付けることができました。

結果、商品ではなく、オーナーになるという体験やライフスタイルを楽しめるサービスになったと自負しています。

――現在、参加している生産者はどのような基準で提携されたのでしょうか?

もとからコネがあったわけではないので、立ち上げ時は、電話営業から始めました。
いわゆる「ECサイトを開きませんか」という営業の電話はよくあるようで、インターネットを通じて.. という言葉だけで拒否反応を示して切られてしまうことも沢山ありました。OWNERSは既存のECサイトではないということや、自分の想いをしっかりと伝え、ビジョンに共感してくれた生産者さんとパートナーを組みました。とは言っても、サービスリリース前は300件以上にアプローチしてパートナーとして組むことが出来たのは5件。数より内容で勝負しようと思っていましたが、それにしても苦戦しました。

リリース後の反響もあり、その後は全国の生産者の方々から「自分たちもOWNERSでオーナーを募集できないか」と連絡をいただくことが増え、現在では掲載待ちが出るようになっています。

行政だと平等性の担保が必要になるので、普通の生産者もこだわり抜いている生産者も一緒に扱わないといけないことが多いのですが、OWNERSでは、生産者の方が持つこだわりや、生産されるまでの物語の面白さで勝負できる方に絞ってお願いしています。

 


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大手への貴重な提案機会は 社員モチベーションも向上

株式会社ギフティ 代表取締役 太田睦氏

ちょっとした感謝の気持ちを形にする「eギフト」の分野を日本で切り拓いてきたのが2010年創業の株式会社ギフティ(東京都品川区)です。同名のサービス「giftee」は開始当初から注目を浴び、デジタルガレージの「Open Network Lab(オープンネットワークラボ)」やKDDIの「KDDI ∞ Labo(KDDIムゲンラボ)」といった著名インキュベーションプログラムの第1期生として相次ぎ採択され、現在では50万超の会員数を誇るまでに成長しています。代表取締役の太田睦(むつみ)さんにスタートアップ成長のあり方や事業の展望をうかがいました。

著名インキュベーションプログラムの1期生

――ITベンチャー界では初期の頃からかなり知られる存在だった「giftee(ギフティ)」ですが、太田社長がこの仕組みを考えたきっかけは何だったのですが

Webで人とつながれる時代になり、SNSでさまざまなメッセージが送れるようにはなりましたが、もう一歩進んだ「感謝の気持ち」を表せないかと思ったのがきっかけです。実際に会うほどではないけど、コーヒー1杯でもいいので、相手に手触り感のあるぬくもりを届けたいと長い間思っていて、それを形にしたのがgifteeです。

gifteeでは、例えば送り側がカフェやコンビニなどで使える500円の商品券を相手に贈ると、贈られた側はその店で500円分の商品などと引き換えられるという仕組みです。リアルな紙の商品券ではなく、電子で贈りますので、住所が分からなくても問題ありません。

始めた当初は「数百円のプレゼントをもらって相手は嬉しいのだろうか」とのご意見もいただきましたが、確かに結婚記念日なんかで数百円のプレゼントでは、期待値が高いだけに夫婦の危機になりかねませんが、言葉だけで感謝を伝えて済むようなシーンで、期待値がないところでちょっとしたプレゼントが届く形になりますので、十分に喜ばれることがわかりました。

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――もともと、著名コンサルティング企業のアクセンチュアでエンジニアだったとのことですが、起業までの経緯を教えてください

SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)を卒業する際、未経験でもエンジニア採用を行っていたのがアクセンチュアでした。ただ、近いうちに起業したいとの思いはずっと持っていましたので、「3年以内に起業します」と正直に話したのですが、採用されました。

米に拠点を置いて活躍するIT企業経営コンサルタントの梅田望夫(もちお)さんが2006年に出版した「ウェブ進化論」(ちくま新書)などの書籍を学生時代に読んで影響を受けていおり、IT界やスタートアップには大きな関心を持っていたのです。

アクセンチュアで働き出した頃は、日本でもmixi、FacebookSNSの全盛期。SNSを通じてリアルな贈り物をするというアイデアは心の底に温めていたところ、韓国でこうしたサービスが「ギフティコンやギフティショー」と呼ばれて既に隆盛になっていると聞き、「これはいける」と思い、社内で仲間を探して起業に踏み切ったのです。2009年秋のことでした。

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ギフティのコーポレートサイト、C向けの「giftee」だけでなく、B向けの仕組みも提供されている

――起業後、太田さんのアイデアはスタートアップ界でいち早く注目を浴びます

ちょうど翌年にデジタルガレージさんが起業家育成プログラムの「Open Network Lab(オープンネットワークラボ)」を始めたので、応募したところ1期生として採択いただきました。この時、デジタルガレージの共同創業者で、現在は米国マサチューセッツ工科大学のMITメディアラボで所長をつとめておられる伊藤穰一さんにプレゼンできる機会に恵まれました。伊藤さんからは、リアル店舗でギフトを手渡す際にPOS(販売時点情報管理)と連動できていない点を指摘され、後に私たちが苦労することになる課題をこの時点で知ることになりました。

翌年はKDDIさんがスタートアップ育成の「KDDI ∞ Labo(KDDIムゲンラボ)」を始めたので、こちらにも手を上げまして、1期生として選んでいただいています。

――そして2011年3月にgifteeをリリースします

最初はWeb版だけでしたが、2011年秋にはiOSとAndroidアプリに対応しました。当初はプレゼントを贈ったり、受け取れたりできるのは都内にある一部のカフェ店などに限られ、それほど多くはありませんでしたが、翌年にはファミリーマートさんの店舗で「スパイシーチキン」という商品を受け取れるクーポンを無料で贈れるキャンペーンを行ったこともあり、多くの人に知っていただく機会となりました。

――サービス開始当初からアプローチしていたのがスターバックスでした

プレゼントを贈る側にも、受け取る側にもスターバックスさんですと喜ばれますし、gifteeのようなサービスを利用する方と相性が抜群だと思っていました。すぐにトライアルの機会をいただき、実証実験を行ったのですが、ここでネックとなったのがPOSとの連携でした。ギフトで贈られたクーポンを持っていってもPOSで読めなかったので、オペレーション面で課題がありました。その後、3年がかりで解決し、2014年に念願の対応を果たしています。この時は嬉しかったですね。

現在、gifteeのギフトはスターバックスさんを含め、コンビニなど全国チェーンをあわせると、全国3万店近くの店舗で対応しています。ギフトを贈られた側は、引き換えられる店舗が近くにあるのではないでしょうか。

――gifteeの仕組みは「BtoB」で活用されるケースが増えています

たとえば「商品券を1万人にプレゼント」みたいな販促キャンペーンを行う場合、紙の商品券ですと送料だけでも莫大なお金がかかってしまいます。gifteeの仕組みを使えば電子で贈るだけですので、コストが大幅に削減できるわけです。

gifteeのシステムはクラウドサービスの「eGift System」「eTicket System」として、既に多くの企業にご利用いただいています。こちらも利用者数は右肩上がりで増えているところです。

――crewwでも大手企業から注目を浴びていますね

crewwは2年くらい前から、自分が自覚しないうちに登録をしていました。最初は誰かに誘われたのかもしれません。非常にありがたい仕組みで、既にcrewwを通じて著名な数社とお話が進んでいます。

大手企業に提案書を見ていただける貴重な機会ですので、私だけでなく、提案を担当する社員のモチベーションが自然と上がるのも社内的には良い効果でした。

――太田社長は自らが“営業マン”として、gifteeの対応店舗を次々と増やしてきましたが、大手企業とコラボレーションを成功させるうえでのアドバイスをお願いいたします

たとえ無理な要望であっても、できるということを見せ、結果を出すということが大事です。あと、自社のサービスを知らない方にも分かるように目線を合わせ、分かりやすく説明することも重要ではないでしょうか。

そして、スタートアップは、ユニークであること。自社にしかできない価値を出さないと採択されづらいように思います。

――ありがとうございました。

 



株式会社ギフティ「giftee」の紹介ページ
太田睦さんのcrewwでの紹介ページ

 



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スタートアップと市場を繋ぐ 世界ネットワークの支援体制

株式会社イントラリンク APAC事業開発部ディレクター ノエル・プリッチャード氏

株式会社イントラリンク(東京都港区)は、スタートアップやベンチャー企業の海外進出の支援を中心としたコンサルティングサービスを展開しています。1990年に英国で設立と同時に日本事務所を開設。主に英米スタートアップの日本、韓国、中国市場への進出を手助けしています。長年、アジアと欧米の両市場を橋渡してきたノウハウを生かし、近年は日本のスタートアップを世界に紹介する事業に力を入れています。「crewwとは非常に親和性を感じます」と流暢な日本語で話す同社APAC事業開発部ディレクターのノエル・プリッチャード(NOEL PRITCHARD)さんに、スタートアップの海外展開について話をうかがいました。

英国と日本で同時に開業、25周年を迎える

――英国のスタートアップと日本市場の橋渡しを担ってきたイントラリンクですが、近年は日本のスタートアップを米シリコンバレーや欧州市場に紹介する形が多いそうですね

イントラリンクは1990年に英国で創業していますが、古くから日本とは深い関わりがあり、昨年2015年11月には日本法人が25周年を迎えています。

もともとは、英国をはじめとした欧米のスタートアップを日本企業に紹介するのが主要業務です。欧米企業が日本市場への参入を考えた時、やはり日本語はもちろんのこと、日本の文化への理解がないと難しい面があります。その壁を取り除くのが我々の仕事です。現在、弊社のCEOをつとめるGREGORY SUTCHは日本に12年間にわたっておりましたし、日本に20名いる海外出身スタッフも全員日本語が堪能という特徴があります。

現在では、韓国や台湾、上海、ドイツ、米シリコンバレーにも事務所を持っていますので、英語や日本語以外に、韓国語や中国語、ドイツ語でも大丈夫ですよ。

これまで、各国で多数の業界にまたがる起業家やスタートアップ企業をはじめ、ベンチャーキャピタル、インキュベーター、大学関係者といった独自のネットワークを築いきましたので、現地での営業やマーケティング面、現地でのパートナー探しなど、世界的な規模でワンストップで対応が可能です。海外製品・新規技術のテクノロジー・スカウティングをはじめ、海外でのM&Aや共同企業体(JV)、事業投資の支援もお受けしています。

今も英米や海外から日本へ来るスタートアップも多いのですが、最近は逆に日本のスタートアップを欧米、韓国、中国市場へ紹介することに力を入れているところです。

――これまでに日本市場への進出支援してきた海外のスタートアップは、どのような企業が多いのですが

日本の事務所では現在、海外40社近くの“日本部隊”を担っていますが、これまでIT系だけでなくあらゆる業界のスタートアップの支援に携わってきました。ただ、最近はやはり「フィンテック」と呼ばれる金融テクノロジーや、位置情報技術を開発するような技術系企業が多いでしょうか。

たとえば位置情報技術の分野では、フィンランドで起業したIndoorAtlas(インドアアトラス)社があげられます。同社は地磁気によって精度の高い屋内ロケーションを実現する技術を持っています。スマートフォンに内蔵されているコンパス機能を利用し、それぞれの建物の磁場特性を察知して、位置を知らせるというユニークな仕組みです。日本ではヤフーさんにご紹介し、今年2月には事業提携を結ぶまでにいたっています。

ほかにも、弊社はNTTデータさんが主催するオープンイノベーションビジネスコンテスト「豊洲の港から」ビジネスコンテストにも協力させていただいており、第2回で「事業連携希望」となった Context360社を含め、弊社のネットワークを使って海外のスタートアップ十数社を集めました。

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イントラリンクのWebサイト

――逆に日本のスタートアップで、海外への進出支援を行ったケースはありますか

たとえば、インターネットバンキングの不正送金対策として大きな期待を集めている仕組みの一つに「スーパー乱数表」があります。これは、新しいタイプの乱数表を用いる革新的な二経路認証となっています。開発したバンクガード株式会社(東京都新宿区、藤井治彦CEO)さんも弊社のお客さまで、これまでに韓国市場での展開をサポートをさせていただきました。

シリコンバレーや欧州市場はもちろん、アジア各国に進出の際もご相談いただけたらと思っております。

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――ノエルさんご自身も日本での在住歴が長いですね

生まれは英国ですが、日本との関わりは大学で日本語を専攻したことに始まります。これまで通算12年以上は日本に住んだことになります。フランスにも住んだことがありますが、最近では英ボーダフォンからベライゾンに転職した時に東京へ赴任し、それ以来、日本住まいです。

そうした経緯もあって、日本のスタートアップが特に大好きなんです。日本の高い技術をぜひ海外市場へ紹介したくて、うずうずしています。実は私自身はイントラリンクへは“出戻り”する形で再入社し、日本で勤務しているのですが、やはりスタートアップと関わる仕事に就き、世界へ発信していきたいとの思いがありました。

――crewwは国内のスタートアップと大手企業を結ぶ役割ですが、海外進出支援という面でありがたい存在です

スタートアップの成長を支援する仕組みですので、crewwさんとは非常に相性が良いと思っていました。弊社とつながっている海外のスタートアップや大手企業などにcrewwをご紹介しようと考えています。

crewwに登録されているスタートアップの方で、海外展開を行う際はまずイントラリンクを思い出していただき、お声がけいただけましたら嬉しいですね。最近は日本でもエネルギッシュな起業家が多くなっていますので、「とりあえず日本で」と考える前に、ぜひ一歩を一緒に踏み出しましょうよ。

――ありがとうございました。
 

株式会社イントラリンクのwebサイト

 


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creww初のミートアップイベント コラボ成功の秘訣を議論しました

creww(クルー)ではスタートアップのみなさんを対象に初のミートアップイベントを2016年7月7日に東京・渋谷の「ダブルトールカフェ渋谷店」で開きました。「やってよかったcrewwコラボ」「もう負けない!crewwコラボ必勝法+Q&A」をテーマに、ゲストとしてWarrantee(ワランティ)の庄野裕介さんとキッズスターの金城永典さんが登壇し、コラボ成功への秘訣や裏話を披露。参加した約20名とともに、ビジネスのあり方やcrewwでの活動を熱く語りました。

自らのサービスを俯瞰し、高いレイヤーで提案を

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Warrantee(ワランティ)の庄野裕介さん

七夕の夜19時に始まったミートアップイベントでは、crewwを代表して瀬川栄樹が「今夜はゆるやかな雰囲気で進みますが、深い情報交換していきましょう」とあいさつ。続いて、成功するコラボのあり方について、Warrantee(ワランティ)の創業者である庄野裕介さんがマイクを握りました。

Warranteeは、電化製品などの保証書をスマホのカメラで撮影すると電子化され、保証期間などの管理ができるサービスです。あらゆる製品の「アフターサポートにおけるプラットフォーム」を目指すというコンセプトは、crewwコラボにおいても高い評価を受け、相次いで大手企業と協業が決まるだけでなく、出資の話も複数社から舞い込んでいるといいます。

そんな庄野さんが、コラボにおいて重要な点として強調していたのが、自らのサービスや製品を俯瞰(ふかん)して見ることの大切さです。

「私たちの場合、単なる保証書の管理サービスと考えるのではなく、家電を管理するということは、車や家などの管理も可能ですので、資産管理につながります。さらにはCRM(顧客管理)にも使えるでしょう。捉え方一つで対応できるフィールドが広がりますので、今一度、自らのサービスを俯瞰して高いレイヤーから提案してみてください」とアドバイスしました。

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会場ではcrewwコラボにおけるリアルな話が披露されました

相手に読む気にさせる提案書をどう作るか?

さらに庄野さんは、これまでどんなコラボに応募し、どの会社に興味を持たれたのかという具体例を会場で披露。これらの経験をもとに、提案しやすい企業の見分け方について「将来ビジョンや課題が相手企業にあるかないかが重要。課題が明確でない企業と協業について話すことは非常に難しい」と明かしました。

相手企業の将来ビジョンや課題の探し方については、上場企業ならIR(インベスター・リレーションズ=投資家向け)情報を活用するのが最適だといい、「決算短信は読み解くのが若干難しいので、『決算ハイライト』などと書かれた決算の説明資料を読むのがいいでしょう」と紹介します。

さらには提案書の書き方についても言及し、「相手に読む気にさせるためには、とにかくタイトルが大事。世の中のホットなキーワードを入れると注目されやすい」といい、「論理立てて書くことが重要で、文章化が難しければ箇条書きでも構わない。悩んだときはcrewwのスタッフにアドバイスを求めるのも有効です」と具体的にアドバイスしていました。

まずはエントリーしないと何も起きない

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キッズスターの金城永典さん

庄野さんに続いて登壇したのは、キッズスターでアカウントエグゼクティブをつとめる金城永典さんです。森永製菓とのコラボから生まれた「キョロちゃん海の大冒険」などの独自アプリをはじめ、知育や教育支援のサービスで知られるキッズスターですが、最近は高齢者向け介護支援ソリューション分野にも進出。子どもと高齢者の両分野を得意とするスタートアップとして、大手企業からの注目度が高くなっています。

金城さんはこれまでcrewwで30回超にわたってコラボに応募した経験を披露し、「まずはエントリーしないと何も起きない。とにかく打席に立つことが重要です」と訴えました。そのうえで、提出した企画書について「テキストだけの企画書ではダメ。本気で企画書を提出すれば、踏み込んだ話に発展しやすい」とアドバイス。

一方、これまで大手企業とトライアルは行ったものの、その先に進めなかった経験も何度かあるといい、「相手に必要以上のリソースを求めると失敗しやすい。特に資金提供を求めると先に進みづらい傾向があると分かったので、その後は先方の反応を見ながらに変えた」と明かしました。

「最近は大手企業がスタートアップとの協業には慎重になっているイメージがあり、スモールスタートができるプランがないと始まらない」と述べ、「大手と協業することで、販路や人、施設といったものは調達しやすいイメージがあります。ただ、お金がからむと、ハードルは上がります」との印象を話しました。

普段は聴けないような濃密な話で盛り上がる

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庄野さんと金城さんの講演後、参加者からは次々と手が上がり、「crewwを通すことのメリットはどんな点にあるのか」「コラボに落ち続けたらどうすればいいのか」といった内容から、crewwのエントリーページや自己紹介ページの改善要望、「最近は大手とスタートアップの協業が大きな規模になりづらいのはなぜか」といった世の中の動向まで、あらゆる質問内容が飛び出しました。

crewwを活用することについて庄野さんは「決済権者へアプローチするにはcrewwは最強です。大企業とスタートアップの“出会い系サイト”みたいなものでしょうか」と会場の笑いを誘い、金城さんは「これまで営業メールを送り続けてきたのですが、きわめて非効率。crewwはひとっとびに担当者へアクセスできる。まるで、開けられない扉を開けてくれる存在」と話します。

一方、コラボに“連敗”した経験について金城さんは、「相手企業と継続して仕事ができることがゴールとすれば、エントリーした大半は“落選”ということになる。『何くそ!』という気持ちを持っていないと負けてしまう」と吐露し、庄野さんは「手抜きをしていないか否か原因を突き詰めることが大事、大企業は甘くない」と、自らを振り返ることの重要性を述べていました。

その後の交流会では、個別に細かな情報交換が行われ、お酒と食事を楽しみながら、普段は決して聴けないような濃密な話が最後まで交わされました。

crewwでは大手企業とスタートアップの橋渡しはもちろん、crewwに参加いただいているスタートアップ間においても、横のつながりが創出できる場も積極的に設けてまいります。ご参加いただいたみなさま、夜遅くまでありがとうございました。

 


Warrantee(ワランティ)・庄野裕介さんのインタビューページ
キッズスター・金城永典さんのcrewwページ