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スタートアップと市場を繋ぐ 世界ネットワークの支援体制

株式会社イントラリンク APAC事業開発部ディレクター ノエル・プリッチャード氏

株式会社イントラリンク(東京都港区)は、スタートアップやベンチャー企業の海外進出の支援を中心としたコンサルティングサービスを展開しています。1990年に英国で設立と同時に日本事務所を開設。主に英米スタートアップの日本、韓国、中国市場への進出を手助けしています。長年、アジアと欧米の両市場を橋渡してきたノウハウを生かし、近年は日本のスタートアップを世界に紹介する事業に力を入れています。「crewwとは非常に親和性を感じます」と流暢な日本語で話す同社APAC事業開発部ディレクターのノエル・プリッチャード(NOEL PRITCHARD)さんに、スタートアップの海外展開について話をうかがいました。

英国と日本で同時に開業、25周年を迎える

――英国のスタートアップと日本市場の橋渡しを担ってきたイントラリンクですが、近年は日本のスタートアップを米シリコンバレーや欧州市場に紹介する形が多いそうですね

イントラリンクは1990年に英国で創業していますが、古くから日本とは深い関わりがあり、昨年2015年11月には日本法人が25周年を迎えています。

もともとは、英国をはじめとした欧米のスタートアップを日本企業に紹介するのが主要業務です。欧米企業が日本市場への参入を考えた時、やはり日本語はもちろんのこと、日本の文化への理解がないと難しい面があります。その壁を取り除くのが我々の仕事です。現在、弊社のCEOをつとめるGREGORY SUTCHは日本に12年間にわたっておりましたし、日本に20名いる海外出身スタッフも全員日本語が堪能という特徴があります。

現在では、韓国や台湾、上海、ドイツ、米シリコンバレーにも事務所を持っていますので、英語や日本語以外に、韓国語や中国語、ドイツ語でも大丈夫ですよ。

これまで、各国で多数の業界にまたがる起業家やスタートアップ企業をはじめ、ベンチャーキャピタル、インキュベーター、大学関係者といった独自のネットワークを築いきましたので、現地での営業やマーケティング面、現地でのパートナー探しなど、世界的な規模でワンストップで対応が可能です。海外製品・新規技術のテクノロジー・スカウティングをはじめ、海外でのM&Aや共同企業体(JV)、事業投資の支援もお受けしています。

今も英米や海外から日本へ来るスタートアップも多いのですが、最近は逆に日本のスタートアップを欧米、韓国、中国市場へ紹介することに力を入れているところです。

――これまでに日本市場への進出支援してきた海外のスタートアップは、どのような企業が多いのですが

日本の事務所では現在、海外40社近くの“日本部隊”を担っていますが、これまでIT系だけでなくあらゆる業界のスタートアップの支援に携わってきました。ただ、最近はやはり「フィンテック」と呼ばれる金融テクノロジーや、位置情報技術を開発するような技術系企業が多いでしょうか。

たとえば位置情報技術の分野では、フィンランドで起業したIndoorAtlas(インドアアトラス)社があげられます。同社は地磁気によって精度の高い屋内ロケーションを実現する技術を持っています。スマートフォンに内蔵されているコンパス機能を利用し、それぞれの建物の磁場特性を察知して、位置を知らせるというユニークな仕組みです。日本ではヤフーさんにご紹介し、今年2月には事業提携を結ぶまでにいたっています。

ほかにも、弊社はNTTデータさんが主催するオープンイノベーションビジネスコンテスト「豊洲の港から」ビジネスコンテストにも協力させていただいており、第2回で「事業連携希望」となった Context360社を含め、弊社のネットワークを使って海外のスタートアップ十数社を集めました。

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イントラリンクのWebサイト

――逆に日本のスタートアップで、海外への進出支援を行ったケースはありますか

たとえば、インターネットバンキングの不正送金対策として大きな期待を集めている仕組みの一つに「スーパー乱数表」があります。これは、新しいタイプの乱数表を用いる革新的な二経路認証となっています。開発したバンクガード株式会社(東京都新宿区、藤井治彦CEO)さんも弊社のお客さまで、これまでに韓国市場での展開をサポートをさせていただきました。

シリコンバレーや欧州市場はもちろん、アジア各国に進出の際もご相談いただけたらと思っております。

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――ノエルさんご自身も日本での在住歴が長いですね

生まれは英国ですが、日本との関わりは大学で日本語を専攻したことに始まります。これまで通算12年以上は日本に住んだことになります。フランスにも住んだことがありますが、最近では英ボーダフォンからベライゾンに転職した時に東京へ赴任し、それ以来、日本住まいです。

そうした経緯もあって、日本のスタートアップが特に大好きなんです。日本の高い技術をぜひ海外市場へ紹介したくて、うずうずしています。実は私自身はイントラリンクへは“出戻り”する形で再入社し、日本で勤務しているのですが、やはりスタートアップと関わる仕事に就き、世界へ発信していきたいとの思いがありました。

――crewwは国内のスタートアップと大手企業を結ぶ役割ですが、海外進出支援という面でありがたい存在です

スタートアップの成長を支援する仕組みですので、crewwさんとは非常に相性が良いと思っていました。弊社とつながっている海外のスタートアップや大手企業などにcrewwをご紹介しようと考えています。

crewwに登録されているスタートアップの方で、海外展開を行う際はまずイントラリンクを思い出していただき、お声がけいただけましたら嬉しいですね。最近は日本でもエネルギッシュな起業家が多くなっていますので、「とりあえず日本で」と考える前に、ぜひ一歩を一緒に踏み出しましょうよ。

――ありがとうございました。
 

株式会社イントラリンクのwebサイト

 


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creww初のミートアップイベント コラボ成功の秘訣を議論しました

creww(クルー)ではスタートアップのみなさんを対象に初のミートアップイベントを2016年7月7日に東京・渋谷の「ダブルトールカフェ渋谷店」で開きました。「やってよかったcrewwコラボ」「もう負けない!crewwコラボ必勝法+Q&A」をテーマに、ゲストとしてWarrantee(ワランティ)の庄野裕介さんとキッズスターの金城永典さんが登壇し、コラボ成功への秘訣や裏話を披露。参加した約20名とともに、ビジネスのあり方やcrewwでの活動を熱く語りました。

自らのサービスを俯瞰し、高いレイヤーで提案を

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Warrantee(ワランティ)の庄野裕介さん

七夕の夜19時に始まったミートアップイベントでは、crewwを代表して瀬川栄樹が「今夜はゆるやかな雰囲気で進みますが、深い情報交換していきましょう」とあいさつ。続いて、成功するコラボのあり方について、Warrantee(ワランティ)の創業者である庄野裕介さんがマイクを握りました。

Warranteeは、電化製品などの保証書をスマホのカメラで撮影すると電子化され、保証期間などの管理ができるサービスです。あらゆる製品の「アフターサポートにおけるプラットフォーム」を目指すというコンセプトは、crewwコラボにおいても高い評価を受け、相次いで大手企業と協業が決まるだけでなく、出資の話も複数社から舞い込んでいるといいます。

そんな庄野さんが、コラボにおいて重要な点として強調していたのが、自らのサービスや製品を俯瞰(ふかん)して見ることの大切さです。

「私たちの場合、単なる保証書の管理サービスと考えるのではなく、家電を管理するということは、車や家などの管理も可能ですので、資産管理につながります。さらにはCRM(顧客管理)にも使えるでしょう。捉え方一つで対応できるフィールドが広がりますので、今一度、自らのサービスを俯瞰して高いレイヤーから提案してみてください」とアドバイスしました。

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会場ではcrewwコラボにおけるリアルな話が披露されました

相手に読む気にさせる提案書をどう作るか?

さらに庄野さんは、これまでどんなコラボに応募し、どの会社に興味を持たれたのかという具体例を会場で披露。これらの経験をもとに、提案しやすい企業の見分け方について「将来ビジョンや課題が相手企業にあるかないかが重要。課題が明確でない企業と協業について話すことは非常に難しい」と明かしました。

相手企業の将来ビジョンや課題の探し方については、上場企業ならIR(インベスター・リレーションズ=投資家向け)情報を活用するのが最適だといい、「決算短信は読み解くのが若干難しいので、『決算ハイライト』などと書かれた決算の説明資料を読むのがいいでしょう」と紹介します。

さらには提案書の書き方についても言及し、「相手に読む気にさせるためには、とにかくタイトルが大事。世の中のホットなキーワードを入れると注目されやすい」といい、「論理立てて書くことが重要で、文章化が難しければ箇条書きでも構わない。悩んだときはcrewwのスタッフにアドバイスを求めるのも有効です」と具体的にアドバイスしていました。

まずはエントリーしないと何も起きない

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キッズスターの金城永典さん

庄野さんに続いて登壇したのは、キッズスターでアカウントエグゼクティブをつとめる金城永典さんです。森永製菓とのコラボから生まれた「キョロちゃん海の大冒険」などの独自アプリをはじめ、知育や教育支援のサービスで知られるキッズスターですが、最近は高齢者向け介護支援ソリューション分野にも進出。子どもと高齢者の両分野を得意とするスタートアップとして、大手企業からの注目度が高くなっています。

金城さんはこれまでcrewwで30回超にわたってコラボに応募した経験を披露し、「まずはエントリーしないと何も起きない。とにかく打席に立つことが重要です」と訴えました。そのうえで、提出した企画書について「テキストだけの企画書ではダメ。本気で企画書を提出すれば、踏み込んだ話に発展しやすい」とアドバイス。

一方、これまで大手企業とトライアルは行ったものの、その先に進めなかった経験も何度かあるといい、「相手に必要以上のリソースを求めると失敗しやすい。特に資金提供を求めると先に進みづらい傾向があると分かったので、その後は先方の反応を見ながらに変えた」と明かしました。

「最近は大手企業がスタートアップとの協業には慎重になっているイメージがあり、スモールスタートができるプランがないと始まらない」と述べ、「大手と協業することで、販路や人、施設といったものは調達しやすいイメージがあります。ただ、お金がからむと、ハードルは上がります」との印象を話しました。

普段は聴けないような濃密な話で盛り上がる

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庄野さんと金城さんの講演後、参加者からは次々と手が上がり、「crewwを通すことのメリットはどんな点にあるのか」「コラボに落ち続けたらどうすればいいのか」といった内容から、crewwのエントリーページや自己紹介ページの改善要望、「最近は大手とスタートアップの協業が大きな規模になりづらいのはなぜか」といった世の中の動向まで、あらゆる質問内容が飛び出しました。

crewwを活用することについて庄野さんは「決済権者へアプローチするにはcrewwは最強です。大企業とスタートアップの“出会い系サイト”みたいなものでしょうか」と会場の笑いを誘い、金城さんは「これまで営業メールを送り続けてきたのですが、きわめて非効率。crewwはひとっとびに担当者へアクセスできる。まるで、開けられない扉を開けてくれる存在」と話します。

一方、コラボに“連敗”した経験について金城さんは、「相手企業と継続して仕事ができることがゴールとすれば、エントリーした大半は“落選”ということになる。『何くそ!』という気持ちを持っていないと負けてしまう」と吐露し、庄野さんは「手抜きをしていないか否か原因を突き詰めることが大事、大企業は甘くない」と、自らを振り返ることの重要性を述べていました。

その後の交流会では、個別に細かな情報交換が行われ、お酒と食事を楽しみながら、普段は決して聴けないような濃密な話が最後まで交わされました。

crewwでは大手企業とスタートアップの橋渡しはもちろん、crewwに参加いただいているスタートアップ間においても、横のつながりが創出できる場も積極的に設けてまいります。ご参加いただいたみなさま、夜遅くまでありがとうございました。

 


Warrantee(ワランティ)・庄野裕介さんのインタビューページ
キッズスター・金城永典さんのcrewwページ


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大成功をおさめたセブン銀行crewwコラボ

2016年2月8日からエントリーが始まった、株式会社セブン銀行(以下セブン銀行、東京都千代田区、代表取締役社長 二子石 謙輔)による「crewwコラボ」の本社プレゼンテーションが3月23日、24日の二日間に渡って開催された。

 

「あの街、この町にもっと便利を。」をテーマに、セブン銀行とスタートアップが「新しい便利」を一緒に生み出していくことを期待し、本プログラムは行われた。セブン銀行が採択されたスタートアップに対して、順次試験的にサービス連携やマーケティングなどでの支援をするほか、業務提携や出資も視野に入れている。ここまでの選考を通過した、株式会社BairTail、ドレミングアジア株式会社、株式会社ギフティ、株式会社レアリスタ、株式会社Residence、タメコ株式会社の6社のスタートアップが、事業採択の判断の場となる本社プレゼンテーションに臨んだ。

本社プレゼンテーション
<写真上段左より>
ドレミングアジア(ドレミングアジア)株式会社 桑原氏
株式会社ギフティ (giftee)大曽根氏
株式会社BearTail(Dr.Wallet) 高澤氏
<写真下段左より>
株式会社レアリスアタ(Holiday Ticket)和田氏
株式会社Residence (Residence)岡村氏
タメコ株式会社 (Tamecco )キム氏

プレゼンテーションは、スタートアップが自社のサービス紹介をするだけでなく、実際にセブン銀行と連携してどんな事業を展開するか提案、ディスカッションするというもの。本社プレゼンにはセブン銀行代表取締役社長の二子石謙輔氏をはじめとしたセブン銀行の役員ら、総勢20名強が並ぶなか、セブン銀行社員で結成されたcrewwコラボ事務局の積極的なファシリテーションにより活発なディスカッションがなされた。

この活発なディスカッションの裏には秘密がある。事務局は社内に対し、事前に「自由奔放な意見、極端な意見など、通常では出ない意見は尊重」「提案内容、発言内容に対する批判はNG」「できないではなく、どうすればできるかという視点で考える」といった、新しいことに挑戦する雰囲気づくりを促した。

得てして業務委託先からの提案を待つような姿勢になりがちな大企業とスタートアップのディスカッションではあるが、今回はそれを良い方向に裏切り、各社1時間弱の持ち時間いっぱいを使い、提案はさらに具体的に、実現性を帯びたものにブラッシュアップされていく。さて、気になる採択の結果は?

本社プレゼンテーション

※crewwコラボとは、新規事業創出を目指したプログラムであり、本プログラムは下記の流れで行われていました。
・セブン銀行がスタートアップ企業に提供するリソースを専用ページに公開
・スタートアップ企業が利用したいセブン銀行のリソースを選択
・スタートアップ企業が専用ページから共同事業内容をエントリー
・crewwコラボシステム内で両者がコミュニケーションを重ね実現へ向け協議

※オープンイノベーションは自社の有する経営資源や技術に頼るだけでなく、社外からの技術やアイデア、サービスを有効に活用し革新的なマーケットを創造することです。
※スタートアップとは、独自の技術やアイデアによって、前例のないビジネスモデルを作りだし、既存マーケットに挑戦する成長速度の速い企業を指します。

 
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大企業と一緒に同じスピード感で何かを生み出せるのが魅力

株式会社BearTail(ベアテイル)代表取締役 黒﨑賢一

スマホでレシートを撮影するだけで内容を読み取ってくれる全自動の家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」で知られるのが株式会社BearTail(ベアテイル、東京都千代田区)です。筑波大学発のエンジニア集団として2012年6月の創業以来、社会の道しるべとなるような斬新サービスを相次ぎ発表してきました。一方でCreww(クルー)が大手企業とのコラボレーションマッチングを開始した当初から参加しており、既に日本を代表する大手新聞社とのコラボも決定しています。BearTailの黒﨑賢一社長に事業の展望や、大手企業とのコラボのあり方について話を伺いました。

 

大学3年生で起業、全自動の家計簿アプリを開発

―― もともと黒崎社長はIT系のメディアでライターをされていたそうですね

高校生の頃からソフトバンク系のメディアで、ウイルスソフトの紹介記事などIT関連の内容を書かせていただいていました。ライターのアルバイトを通じてまとまったお金が貯まったので、卒業旅行でインドへ行ったのですが、そこで少し価値観が変わりました。

インドの人々は1日数百円のお金で懸命に暮らしていますが、私はといえば、自分で稼いだお金とはいえ、高校生の身分なのにそれなりの収入があり、不自由もなく暮らしています。「こんなぬるま湯の中にいて大丈夫だろうか。本気で働かなければ」と感じ、これが後の起業に繋がったのかもしれません。

 

―― 筑波大学への進学後は何か変化がありましたか

良いのか悪いのかは分かりませんが、勉学よりもライター業によりのめり込みました。自分の書いた記事が無数の人に読まれ、多くの人に影響を与えるという仕事に魅了され、1日に10本くらい記事を書いていたことさえありました。そのため、学業には目を向けていられないという弊害はありましたが……(苦笑)

 

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―― そして大学3年生の時に起業に踏み切ります

取材して記事を書いているのはもちろん楽しいのですが、いつしか「紹介する側」ではなく、「紹介される側」になりたいと思ったことが一つのきっかけです。8畳しかない私のアパートに同級生4人が集まって会社を立ち上げました。“オンライン墓地”とか、筑波大学周辺の情報マッチングサイトとかECの最安値自動購入サービスとか、とにかく色んなサービスを立ち上げましたね。

 

―― さまざまなサービスを立ち上げたなかで、家計簿アプリ「Dr.Wallet(ドクターウォレット)」が生まれたのですね

それぞれのサービスを運営するなかで、解決しがたい課題も見えてきました。たとえば、各ECサイトの最安値を自動で探し出して購入するサービスの場合、人によっては最安値よりも最速で届けてくれことを望む場合もありますし、保証が充実している店の方がいいという人もいるでしょう。個々人に応じた最適化が難しかったのです。

ただ、こうしたサービスの開発を通じて「買物が人生を変える、モノによって人生が変わるのではないか」という思いが生まれ、“購買”に焦点を絞ったサービスを考えた末、購買を管理する「家計簿」という形に行きつきました。2012年ごろから開発をはじめ、実際にリリースできたのは2013年です。

 

―― 現在、多くの家計簿アプリが登場していますが、Dr.Walletはどう差別化を図ってきたのでしょうか

スマートフォン(スマホ)のカメラでレシートを撮ればデータ化ができる、という点では同じですが、われわれが開発したDr.Walletは、裏側でオペレーターがすべて手入力しているのが特徴です。OCR(光学文字認識)でデータ化するケースと比べ、ほぼ間違いはないですね。手入力している家計簿アプリは日本で初めてです。

現在、全国2500人ほどのオペレーターを確保しており、クラウドソーシング的に働いてもらっています。ユーザのみなさんには正確な入力という面を高く評価いただいているためか、アプリの継続利用率が非常に高く、ある調査ではトップになりました。

 

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―― Dr.Walletは120万ダウンロードを誇るアプリに育ちましたが、ビジネス(マネタイズ)面での展望を聞かせてください

これまでの2年間は、アプリをより良くすることだけにひたすら注力してきましたので、本格的なマネタイズは来年から取り組む予定です。機能を強化した有料版を設定するなどの「フリーミアムモデル」はもちろんですが、一方で広告モデルも見込んでいます。

たとえば、利用者が特定の商品を購入した場合は、レシートによって分かりますので、キャッシュバックキャンペーンを行ったり、クーポン券を出したりして、店舗への送客や販売促進を行うといったビジネス向け(BtoB)の事業を考えており、これは既に試行しています。

 

―― そんななか、Creww(クルー)に参加したのはどんなきっかけだったのですか

2年ほど前、弊社に出資いただいているベンチャーキャピタルの方に「参加してみては」と勧めていただきました。Crewwが始まって間もない頃ですので、ある意味で今では“古参”かもしれませんね(笑)

 

―― Crewwで活動したなかで感じたことはありましたか

最初は「大企業の人に会ってみたい」という単純な動機があったのですが、とにかく前向きな話をできるのが非常にいいですね。担当者の方もスピード感があって新しい何かが生まれやすい雰囲気がありますし、プレゼンテーションの時以外はオンラインで完結するのも効率的で気に入っているところです。

あと、Creww自体はマッチングプラットフォームとして黒子に徹していますが、実に良い仕組みなのですから、ベンチャー企業としてもっと目立ってもいいのでは、ということは感じています。

 

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―― 既に大手新聞社とのコラボレーションが決まっています

先方にプレゼンした時は、幹部の方の多数いらっしゃったのでさすがに緊張しましたが、普段はピッチ(短時間プレゼン)ばかりだったので、Crewwのプレゼンでは担当者の方から具体的で適切なアドバイスをいただけるのは非常にありがたかったですね。

16社が参加したなかで、コラボ先として選んでいただけたのは素直に嬉しかったです。

 

―― これからCrewwに参加したり、コラボにエントリーするスタートアップへのアドバイスをお願いします

スタートアップですから、自らが目指す方向性や夢はしっかりと持つのは当然ですが、“我が道を行く”という姿勢ばかりではなく、コラボ先の企業が何をやりたいのか、優先度が高い分野はどこなのかをきちんと理解し、そこに合った提案を行うことが大事なのではないでしょうか。そのため、先方の担当者とよく話し合いながら提案に落とし込んでいく作業は不可欠です。

大企業とのコラボということで、そのインフラを使った壮大な事業提案をしたくなる気持ちは分かりますが、相手側も大きなリスクを背負うことになるため、慎重にならざるを得ません。まずはスモールスタートでのコラボを提案し、それが上手くいったら次のステップに、という考え方も持っていただけたらと思っています。

取材先 : 株式会社 BearTail http://beartail.jp/