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自力で切り拓き続けた道の先にあった起業という選択

株式会社NOWALL 代表取締役 柏木祥太

IoT(Internet of Things)という言葉も注目されている昨今、ビジネスにおけるプログラミングの需要は高まっている。そんななか、プログラミング教育に力を入れているのが株式会社NOWALL。柏木氏は中学生の頃からプログラミングを学び、フリーランスのエンジニアとして活動していたが、2014年にNOWALLを創業。創業後半年間は、企業のシステム構築の事業がメインだったが、エンジニアの育成に力を入れていきたいと考え、2015年より教育事業にも力を入れている。6ヶ月間の中長期プログラミング学習スクール「ELITES(エリーツ)」を2015年にリリース。プログラミングを学ぶだけでなく、仕事として活用できるための実践経験もカリキュラムに組み込んでいるのが特徴だ。

万年のエンジニア不足に応えるための地方での人材育成

―― オフィスの移転おめでとうございます。このオフィスのフロア、だいぶスペースがありますね。どれくらいの方が通常、働いているか教えてください。

社員としては、20人。半分強がエンジニア、それ以外がスタッフ。広報や営業は特にいません。空いたスペースでは、たまに外部の方が仕事をしていますが、スパルタキャンプのためにもこの広さが必要だったんです。今、隣の部屋は岩手県から来た人が泊まれるようにもしているんです。

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オフィス使用時。人が揃った時は椅子が足りないことも。

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キャンプ使用時

―― というのは?

2015年から岩手県八幡平市から依頼を受けてスパルタキャンプを開催しています。八幡平市には「起業志民プロジェクト」という起業のためのサポートプログラムがあって、市としてプログラミング教室を開催したいという考えがあったんです。

既に3回ほどスパルタキャンプが開催されていて、卒業生がエンジニアとしての即戦力として活動しているのですが、そのうち2人がこの4月弊社に入社してくれる運びになり、2ヶ月間東京オフィスで研修をし、また6月に岩手に戻るんです。岩手に戻るときには岩手オフィスも開設する予定です。東京オフィスは、まだこの規模なのでフレキシブルに使っています。

都心は常にエンジニア不足ですし、場所であったり、生活費であったり、プロとして活躍していくまでにもお金がかかります。「都内でなくても働ける」「地方からも人材を輩出する」ということには僕も興味があったので、このあたりは事例を増やしていきたいと考えていますし、地方創生につながるのではないかと考えています。

―― 数ヶ月で実務レベルのものが身に付くんですか?

3ヶ月、フルタイムは欲しいです。ただ、スパルタキャンプは土日を1ヶ月間、80時間というプランもあるんです。岩手との取り組みはまさにそうでした。そこから自習であったり、さらにブラッシュアップをしていったりするというのであれば、現場でも戦える人材が出てきます。

12歳から独学で学んだプログラミング言語

―― 柏木さん自体は、どのようにしてプログラミングを身に付けていったんですか?

12歳の頃からです。当時、モバゲーが流行っていて、あのような掲示板をつくりたくて、だけどプログラミングを習うどころか、中学生のときは本を買うお金もなかったので、図書館にある本を片っ端から借りました。Perlから入ったのですが、歯が立たなくて、少し挫折したところに、PHPという言語もあることを知りました。プログラミング言語というものは、ひとつではなく、幾つかある、ということも、手を動かしてから知ったことです。

そのうち簡単なSNSをつくって仲間内でつかっていました。仲間内でつかっていくつもりが、自然に広がっていて、運営費はそのSNS内や、自分でSNSの構築の仕方などをまとめていたブログサイトに設けたアフィリエイト(広告費)でまわしていたんです。中学生の時には月に10万円売り上げたこともあったのが、収益に波があって、高校1年生のときに、SNSを運営するためのレンタルサーバーの資金がショートしてしまった。それと受験勉強もはじめなければいけないということもあってSNSサイトは閉じてしまったんです。

とはいえ、その後、学校との折り合いのつかなさは加速して、高校2年で退学してしまうんです。退学するなら自分で生活するように両親に言われ、知人の会社で半年間程お世話になっていました。その後もかなりいろんなことがあり、紆余曲折したのですが18歳のときにフリーランスになりました。

―― 現在は22歳ですよね。社会に出るのが早い方であるとは思いますが、起業に至るまでに印象的だったことはありますか?

高校を中退したのも大きな転機ですが、2013年、僕が19歳の時に家入一真さんが企画した「スパルタキャンプ 【PHP編】 in 沖縄」。そこに主催者兼講師として参加していたのも大きな転機でした。そこで一気にひとの繋がりが増え、知人と会社を運営していこうとしていたのですが、うまくいかず、これならひとりで腹を決めて動こうと、14年8月に会社設立をしました。

―― そこからは順風満帆に?

そうですね。最初の半年はフリーランスの時の延長の請け仕事でしたが、2015年1月にエンジニア育成の教育事業も始められるようになりました。しかし、実際スパルタキャンプの形式だと時間と場所の制約を受けてしまうので、制約を受けず自分のペースで学べるようなサービスを作りたいという思いもあり、2015年3月からe-learning形式の「ELITES(エリーツ)」の構想に入り、2015年8月からスクーリング型のプログラミング教室を開始しています。e-lerningは数多くありますが、うちの特徴としては、システム開発の事業もやっているので、現場の知見がそのままプログラムに反映されていくというところにあります。

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壁に囲まれたエリートコースからドロップアウトして広がった世界

―― NOWALLという社名はどういう由来がありますか?

会社設立の時は、社名にもっとも悩みました。そこで以前から、知り合いだったフリーでコンテクストデザイナーをしている方にお願いしたんです。

「Now here,No where」という言葉と僕が起業に至るまでの経緯をかけて「NOWALL」という社名を考えてくれました。 「No Wall(壁がない)」でもありますが、「Now All(今が全て)」という意味もあり、それがしっくりときました。

―― なぜしっくりと来たんですか?

僕が中退した高校は進学校で、「壁に囲まれている」というのが印象に残っていたんです。そこを出て、とにかく目の前の視野がぐっと開けて始まったのが今だという僕自身の経歴もあります。

今はプログラミング教育の事業をやっていますが、プログラミングに限らず他の領域も攻めていきたいと考えています。要は、”学校では学べないことを学べる場所や、触れる機会を提供する”ということが大事なように思っていて。それが今のこの会社のビジョンにもつながっているのですが、狭い視野にとらわれず、いろんなことに挑戦してもらえるような場所や機会を提供し続けたいと思っています。

―― ありがとうございました。

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