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「チャットボット」が変える日常。大手企業と組んで新しいインフラに【後編】

株式会社コンシェルジュ 代表取締役 太田匠吾氏

後編では、太田社長が東京大学大学院を卒業されてから証券会社や政府系ファンドを経て、スタートアップ創業に至るきっかけや、crewwコラボ等を通じた大手企業との取り組みなどについて語っていただきました。

―― 太田社長は東京大学大学院で農学生命科学を専攻していますが、研究畑を歩んで来られたのですか

もともと新しいもの好きで、最先端の研究に触れたいということで生命科学の分野に興味を持ちました。残念ながら、大学や大学院で学んだ農学生命科学とこれまでの仕事は直接的には関係なかったですね(笑)。ただ仮説検証を繰り返すロジカルシンキングという点では役にたってはいます。

大学院へは行ったものの研究職よりもっと一般の人にインパクトを与える仕事に就きたいと感じたのと、すぐに経営層に近い仕事をしてみたいと思いから、JPモルガン証券へ就職しました。3年半の勤務でM&Aの業務に携わらせてもらって、色々な企業経営者の挑戦にお付き合いさせていただいたことが、いまのチャレンジに繋がっていますね。

―― その後、特許事務所での勤務を経て、政府系ファンドの産業革新機構で5年勤めた後に起業しています

親が弁理士事務所を経営していまして、そこを少し手伝いました。後に特許調査サービス会社「IPQuest」で起業したのはこの時の経験があります。知的財産の分野こそ、過去の登録内容などを調べるうえで人間よりもAIの力が大きく役に立つ、と感じて現在のAI分野での事業にもつながっています。
親の事務所を1年ほど手伝ったのですが、業務内容を考えるとどうしても型にはまった仕事にならざるを得ない、と感じた末に産業革新機構へ飛び込み、5年ほどお世話になりました。

産業革新機構では投資部署にて液晶ディスプレイのジャパンディスプレイさんも担当もさせていただき、おかげで米アップルさんとの交渉を経験することもできまして、日々多忙でしたが良い経験でした。

ただ、投資実務を経験する中で、投資する側が基本的に“サラリーマン”であるため、起業家の真の気持ちが分からない部分に葛藤を感じることが多々あり、「自分で実際にやってみなければ」と起業を決断しました。大学生の頃から「何かやらねば!」と思って過ごしてきたことも後押ししたのかもしれません。

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2016年に創業したコンシェルジュの公式サイト

―― まだ成長途上にあるといえるチャットボットですが、コンシェルジュさんでは、すでに複数の大手企業へサービスを導入していますね
昨年(2016年)8月に行われたcrewwコラボに参加したところ、紳士服のはるやま商事さんに採択いただき、今年(2017年)1月に「はるやま就活」LINEアカウントをリリースしました。

はるやま就活LINEアカウントでは、LINE上でスーツの着こなしやビジネスマナーなどをー問一答形式で回答するもので、スーツに着慣れていない就活生を対象としています。これまではるやま商事さんが蓄積されているデータを用いて応答を自動化し、店舗の就活アドバイザーとやりとりをしているようなイメージに仕上げています。

また、まだ表には出せない段階なのですが、インフラ企業や不動産会社からも興味を持っていただいており、お客さまの問い合わせに24時間リアルタイムで対応できる仕組みを構築しているところです。不動産物件への問い合わせがあれば、チャットボットによって即座に返答するというイメージです。

その他、crewwのコラボを通じたものではありませんが、昨年11月からニッポン放送さんの著名番組「オールナイトニッポン」の「カノエラナのオールナイトニッポンモバイル」にもLINEを使ったチャットサービスを導入いただいています。昔はラジオ放送というとリスナーがハガキを投稿していましたが、このサービスでは対話形式でメッセージ投稿が可能となっていて、最近の若いリスナーさんには好評のようです。

―― crewwコラボでは多くの大手企業から熱い視線を浴びているコンシェルジュさんですが、これまでの経験から大手と付き合ううえでのアドバイスをお願いします

crewwコラボもそうですが、単なる“下請け”ではなく対等関係であれ、ということでしょうか。「何でもやれます」という部分を見せるのではなく、自らがコアとする部分を見極めたうえで提案するのが上手くいくのではないでしょうか。

crewwさんに関してはコラボ以外の部分でもいろいろな話をいただいたり、担当者とつなげていただいたりして非常に助かっています。これからもコラボがあれば積極的に応募していこうと思っています。

―― ありがとうございました

 
株式会社コンシュルジュのcrewwページ
 
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「チャットボット」が変える日常。大手企業と組んで新しいインフラに【前編】

株式会社コンシェルジュ 代表取締役 太田匠吾氏

人工知能(AI)の進化とともに生まれたのが自動でリアルタイム対話を行ってくれる「チャットボット(chatbot)」。チャットボットにより、“日常”を変えることも期待でき、ユーザにはこれまでにない高度な体験を提供できる存在として、グーグルやFacebook、マイクロソフト、日本でもLINEやNTTドコモなどが相次ぎ参入しています。そんななか、高性能な自動応答システムを独自に開発し、crewwのオープンイノベーションプログラムを通じて複数の大手企業に採用されるなど熱い視線を浴びるスタートアップが2015年に創業した株式会社コンシェルジュ(ConciergeU=東京都中央区)です。東京大学大学院を修了後、JPモルガン証券や産業革新機構を経て起業した経歴を持つ太田匠吾さんに話をうかがいました。

―― 日々の生活を変革しうるテクノロジーとして「チャットボット」が話題を集めています。投げかけた質問に対し、人工知能(AI)によって自動的に答えてくれる、というイメージが強いのですが、太田社長ご自身はどのようにとらえていますか

一般的に言えば「通信」と「ロボット」を合わせたものがチャットボットで、確かに双方向コミュニケーションを自動で行うという存在です。

ただ、チャットボットに「何をやらせるか」によって特徴は変わってきます。ユーザの質問に対する返答を行わせるのか、弁護士などのようにアドバイスを行うのか、エンタテイメント的に楽しませるのかなど、役割が色々ありすぎるためか、チャットボットの定義もばらばらです。それだけに「簡単なものではない」と捉えています。

“自動化”という部分で見ても、扱うデータがテキストなのか画像なのか、音声なのかによっても変わってくるでしょう。画像の場合は、「猫」が写っていることをAIが学習すれば、それは次から猫として認識してくれますが、テキストの場合はやっかいです。たとえば会話の中で「crewwってヤバいよね」という言葉が出てきたら、どう捉えるべきでしょうか。

もし、株式上場した直後だったら良い意味でしょうし、悪い決算を発表した後だったらネガティブな可能性が高い。シチュエーションやタイミング、発言者の属性や対話する相手によっても意味合いが変わってくるわけですが、これを捉えるのがなかなか難しい。AI技術で先行するIBMでもグーグルでも同様の状況です。現状では技術が追い付いておらず、人がやり取りしたほうが速い、という面もあります。

私たちはその難しいテキスト解析、「自然言語処理」と呼ばれる分野を専門としています。従来からある「ルールベース」「機械学習」と呼ばれる仕組みも用いながら、AIによって会話を学習して賢くする、というアプローチによってサービスを構築しているところです。


コンシェルジュでは高性能な自動応答サービスを提供している

―― そのチャットボットですが、様々な業界で活用が進んできているようですね。この現状について貴社の視点からはどう感じておられますか

チャットボット全体の現状を言いますと、AIを使った先端技術研究の一環としてさまざまな試作サービスを作ること自体は可能ですが、自然言語処理の壁などもあり、先進的なものを“量産化”し定常的に使えるようにするまでには、まだ時間がかかるのではないかと感じているところです。

ただ面白い活用も進んでいまして、私たちが作ったものではありませんが、大阪の近畿大学では、同大学のOBでもあるつんくさんが質問に答えてくれる簡単なチャットボット的なコーナーがあり口調もつんくさんをイメージしていて、エンターテイメント的な使われ方をしていて結構面白いですよ。

こうしたサービスを作ること自体はそれほど難しくはありませんが、AIやテクノロジーというよりも、脚本作家といいますか、こう質問されたら、こういう口調でこんな内容を答えるというように“会話”を面白くするストーリーを書く能力も重要かもしれませんね。

 
株式会社コンシュルジュのcrewwページ
 
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