image

IoT × ハードウェアの観点から考える快適さの向上


株式会社NAIN 代表取締役 兼CEO 山本 健太郎さん

“1秒でコミュニケーション”をコンセプトに、会社の中にある「行き先掲示板」のように、登録した位置情報をメンバーに共有するサービスを提供する株式会社ネイン。2014年に創業された若いスタートアップだが、創業の背景には、AppleやGoogleがソフトサービスを展開する市場環境、ハードメーカーとしてできることを追求した結果の創業だ。

 

モノを使うことで、生活が快適になるところまで設計する

パイオニア株式会社でグローバル市場向けのカーナビや車載インフォテイメント機器の開発や企画を担当している頃、そこで使われるサービスはAppleやGoogleのサービスになり、自社では箱だけを作っているような気持ちがありました。結局、ハードがどう使われ、ひとの生活を変えていくのかが重要だと考えるようになりました。

そこで着目したのが、移動中の連絡です。車内で地図を見ることや音楽を聴くことは成熟市場ですが、例えば、運転中に掛かってくる電話やメールは運転者にとっては非常に大きなストレスになります。そのストレスを解消することができれば、車を運転している時はもちろん、自転車に乗っている時、歩いている時といった移動中のコミュニケーションのストレスを減らせるのではないか? と考えました。
image

 

気付かないことにしているストレスを解消する

例えば歩きスマホをしている人を街中多く見受けますが、車を運転中にスマホを凝視したら大事故につながってしまいます。車を運転しているときにポケットのスマホが着信を知らせたらものすごいストレスになると思いますが「そういうもんだ」と諦めていますよね。そんな風に「そういうもんだ」と思い込んで流しているストレスは日常の色々なシーンに潜んでいて、それを取り除くことができれば利用者にとって便利なものになるのではないかと考えています。

Facebookの実名公開も当時は非常識でしたが、今や普通のこととなっています。現状では、自分の居場所をリアルタイムに発信することに抵抗を覚える人もいますが、今後は常にリアルタイムに情報発信していき、それを共有していく世の中になるのではないかと思っています。モバイル、ウェアラブルでその人の予定がわかり、さらに自動で行き先が記入され、どこにいるのか、わざわざ聞かなくても良い。これこそ無自覚のストレスを解消できるパーソナルアシスタンスサービスになっていってくれると嬉しいです。

 

時代の流れと組織経験が覚悟させた起業

もともと新卒でパイオニア株式会社に入社した頃から起業したいという想いはありました。.comやweb2.0、スマートフォン台頭の時代にもアイデアはあったのですが、いまひとつ踏ん切りがつかずにいました。ところが、ここに来てIoTという流れがあり、この市場は大きくなりそうだと確信し決断ができました。これから2020年まではチャンスだと思います。

現在、38歳ですが、企業に属していたおかげで色々な経験を積むことができました。修羅場も経験して大体の苦しさは経験してきたおかげで耐性がついていることも、今回起業しようと決断したきっかけのひとつかもしれませんね。

 

独自の目線でIoT時代にチャンスを発見

IoT市場の中でビジネスをやる時に、車に関連する仕事をしてきた経験が応用できると考えています。

車の中では瞬時に判断して瞬時に行動しなければなりません。地図を操作するにしても、音楽を聴くにしても、分かりやすく、操作しやすいことが重要です。

例えば画面上で、どのくらいの絵の大きさや文字の大きさ、情報量が、瞬時に判別しやすいか? 何ステップで操作を完了させるのか? どういうやり方でアシストしてもらうのが快適なのか? そのための技術などは秘伝のタネというか、どこにも教科書はなくて、その分野で仕事をしてきた暗黙知や経験知をもった自身の強みであり、解決のためのノウハウを活用できる市場こそ、IoT市場ではないかと考えています。

 

NAIN image

 

動き続けることで不安を解消する

一歩踏み出したら、大学の同級生、イベントで話に割り込んできた若手エンジニア、前職の生意気な部下といった思いもよらないところから自分のできないことをできるメンバーが集まってくれました。

苦労したのは、社員の勤務時間など労務のルールづくり。あとは『HARD THINGS』という本に書いてあるとおり、財務部分については毎日胃が掴まれるような思いというのはしていますね。

よく「走り続けなくてはいけない」という言葉がありますが、走り続けないといけないから走っているのではなく、休んでいると不安で却ってストレスが溜まりそうなので走り続けています、笑。

人の生活になくてはならないサービスに育てていきたい

また、スタートアップというと、初めに多くのユーザーを抱えることを考え、それからビジネスとして儲けることを考えることも多いのですが、最初からお金をまわしていけるようなロードマップをつくっています。資金調達が目的になって、道を見失ってしまうことを危惧しています。

会社の役割には、経済効果もあれば社会貢献もあり、財務、労務、人事など考えなければいけないことも多いのですが、プロダクトを多くの人に届けることができ、幸せになる人が増えることがゴールです。サービスが愛され、自然に人から求められるものになることを目指しています。

 

NAIN image

後記
大学の同級生、イベントで話に割り込んできた若手エンジニア、前職の生意気な部下。不思議な縁でつながっている株式会社ネイン。ご自身の経験と市場を冷静に見極め、すばやく方向転換できるという側面と会社経営という未知の領域には真摯に向かい合える非常にバランス感覚に優れた経営者が率いるスタートアップだと感じました。会社の「行き先掲示板」もIoTになるとその使い方で、利用者の無自覚のストレスを解消してくれそうです。

取材先:NAIN http://www.nain.jp 聞き手:瀬川 栄樹 

 


老舗メガネ会社がスタートアップ企業を生んだ理由
イノベーションを起こすためには同じ目線でのコラボレーションを