crowdworks

37歳、背水の陣で挑んだクラウドソーシング事業で目指す世界


株式会社クラウドワークス 代表取締役社長兼CEO 吉田浩一郎

2011年に創業。2012年3月にサービスを開始。2014年12月にはマザーズに上場し、2015年10月時点で75万人のワーカーと10万社が登録し、常時1万案件がやりとりされているクラウドワークス。一気に成長したこのサービスのバックグラウンドを聞いた。

 

急成長の鍵は、やりたいことと求められていることの一致

クラウドワークスは2012年の創業から、2014年の上場。創業から急成長を遂げましたが、急成長の鍵はなんだと考えていますか?

私には自分自身で何かを表現したいという気持ちがありました。学生時代から、自分の才能を模索して、映画を撮ってみたり、舞台に関わってみたりしていたのですが、それこそ勅使河原三郎や2015年で引退したギエムを見て、「自分には才能がない」というのを思い知らされました。

そこからクラウドワークスの起業に辿り着くまで、どの道で「何者か」になるにはどうしたいいのか模索し続けました。

大学で映画の撮影や舞台に打ち込んで、打ちのめされ、卒業後は大手電機メーカーの営業マンやベンチャー企業の執行役員もしました。就職して、評価される結果を出していましたが、やりたいことかと言われると、強く頷けるものではありませんでした。その後、ベトナムでのアパレル事業などを手掛ける企業を立ち上げたりもしましたが、そこで全てを失くしてしまいました。

そんな折に東日本大震災があり、自分のライフスタイルに合わせた働き方を求める流れが加速しました。クリエイターの様な方々がもつ「価値あるもの」を生み出すことができる才能、それを世の中に伝えるのが自分の役割なんでしょうね。ようやく「やりたいこと」と「向いていること」がひとつになりました。

crowdworks

組織の自律的な成長に必要なのは、信頼と委任

吉田さんの「やりたいこと」と「向いていること」というところに、さらに人がついてきて、急成長しているのは、時代の流れを掴めたからなんですね。

それもありますが、自分のやりたいことに人が集まって、組織が自律的に動き出すようになったのは、見栄や外聞を捨てて、私が人を信頼できるようになったことも大きいと思います。

36歳の頃、3年間一緒に動いてきた役員が、突然。とは言っても、彼は半年前からその準備していたようなのですが、取引先を持って出て行きました。さらに海外でも事業をやっていたのですが、そこで1億ぐらい赤字を出して、社員も辞めていき、年末にオフィスでひとりぼっちになったんです。

「これからどうしよう」と悩んでいる時に、チャイムが鳴って、ある上場企業からお歳暮が届いたんです。なんてことのないものかもしれませんが、「もう誰も自分に見向きもしない」「ひとりぼっちだ」と打ちのめされている時だったので、本当に嬉しかったんです。

再起を賭けて37歳で時に、当時所有していた車も売り、貯金全てを起業に充てました。人のためになることをして、人からの感謝されることをしようと決断したんです。

crowdworks

全て失って、人を信頼することがわかった

自分の元から資産を持ち去された経験があっても、人を信頼することができたんですね。

そうですね。自分の力を過信したり、逆に自分を責めたり、とにかく私はバランスが悪いうえに、人を見る目が無かったんだな、と。だったら、自分ができないことは、それを得意な人に任せる度量を持つしかない。

採用も役員に任せています。ドリコムに勤めていた頃、1ヶ月で30人採用したんです。それは1年後に25人辞めていました。さらに、先ほどの通り、役員が取引先を持って出ていったり、年末ひとりぼっちだったりしたわけですから、笑。

 

信頼できるビジネスパートナーたちを得て、吉田さんがやっていくことはどんなことですか?

現場を知っている役員に組織を見ることなどは託し、私はこの新しいワークスタイルが社会に定着するために必要な絵を描いていきます。数字としては、2017年9月の総契約額100億円を実現するために、事業に非連続性をつくっていくのが役割だと考えています。

今やっていることを無難にこなしているだけでは、そこまでは到達しないですし、上場すると見えている成長を追いがちになるので、いかにスケールダウンさせずに事業を展開していけるかですね。

crowdworks

トレンドで終わらせず、ひとつのライフスタイルに育てあげるために

新しく出てきたビジネスモデルでありがちなのが、その目新しさで一気に着目され、利用されても、一気に萎んでいくことがあると思います。クラウドソーシングが定着し、クラウドワークスだけで100億円という数字は、どんなところから導き出していますか?

クラウドソーシングは、インターネットを使って個人のスキルを見える化し、そのスキルを流通させることができるだけではなく、個人と企業が対等な関係性を保てることが大きな強みです。

個人の情報を最適化して、再分配してきた20世紀的やり方は0になりませんが、インターネットにより個人の情報がリアルタイムに公開され、必要とする場所に届けるような、クラウドワーキングに限らずシェアリングエコノミーと呼ばれるツールやプラットフォームは時代の流れとして増えてきています。これをトレンドで終わらせずに、クラウドワークスをひとつの働くインフラとして育てていきたいと考えています。

矢野経済流通によると、2015年には650億円のクラウドソーシング事業も、2018年には1820億円、2023年には1兆円までいくという見立てがあるので、実現できる目標だと考えています。

クラウドソーシングという働き方を社会に認識してもらうという段階から、次に、個人が安心して働ける環境をつくるために、教育制度や社会保障を整備していくことが必要です。正社員や派遣社員に限らず、多様な働き方を自由に選べる社会を実現していきたいです。

取材先:株式会社クラウドワークス https://crowdworks.jp

 


手のひらに先生がやってくる「スマホ家庭教師」
スマホの画面だけでデータ送受信 注目を浴びる「FlashTouch」技術