Tamecco

リアル店舗での販促の在り方を変える「Tamecco」って?


タメコ株式会社 COO ムイ・キムさん

タメコ株式会社は、独自ハードウェアと独自サーバー処理技術の掛け合わせにより、あらゆるモバイルユーザーの屋内位置・動線のリアルタイム測量技術を開発。社名をとった独自アプリ「Tamecco」では、あらゆる有名店舗での来店スタンプ自動付与やパーソナル販促を実現しつつ、他社アプリにはSDKとして同測量技術を実装し、消費者行動の測量・分析とパーソナル配信を展開している。

オープンイノベーションに取り組んで分かる日本のポテンシャル

−− crewwコラボも連続で決まり、お忙しそうですね。

さっきは日が出ていたと思ったら、もう夜。充実とかではなく、忙殺されて、気付いたら1年経っているんです、笑。

2012年にタメコ株式会社が立ち上がって、これまではビジネスモデルも手探りだったので、「来るもの拒まず、去る者追わず」といったところでしたが、2015年にはソリューション・フォーカスも定まり、そこから外れるものに対してやらないというジャッジを下すことも多くなりました。

−− 多くの企業と取引があるなかで、crewwを使うようになった背景は?

株式会社Crewwとの出会いは、いつか忘れてしまったのですが、おそらく2014年4月に私がタメコに正式就任して、ピッチバトルなど、目に入るシナジーの起きそうな機会は全部出ていた頃です。

無名スタートアップによる飛び込みの営業は構えられてしまうので、ドンピシャで大企業と繋がるcrewwのようなプラットフォームは助かります。大企業側もスタートアップに理解のある担当者がついてくれますよね。Crewwさんがキッカケでお付き合いを始めた大企業様複数社と、現在非常に斬新で具体的な進展を遂げています。

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−− それは、リリースが楽しみですね。今、大企業との提携を次々としていらっしゃいますが、オープンイノベーションを通じて、何か思うところはありますか?

オープンイノベーションというのは、日本経済全体や日本のポテンシャルを考えさせられるものなんです。日本というのは、コンサバと進化の振り幅が大きい。戦後の急進があって、トヨタやホンダができた。バブルの崩壊があって、メーカーから第三セクターに移っていった。今は少子高齢化でマーケットが小さくなっている。今後は、IT化と、自社をあえて「日本企業」と思わなくなったところが伸びていく気がします。韓国もシンガポールもひとつの市都と発想していくひとが、萎縮した状況から抜け出すのではないでしょうか。

このあたらしい競争社会において、単なる足し算で経営戦略を考えるとうまくいかない。少子高齢化で売れないから、それを外に持っていっても、国内で売れないものが、海外で売れるかというと難しいですよね。マーケットから国境という概念を除いて、当り前のようにクロスボーダーの発想ができる会社がうまく今の市場をとらえられるのではないか。すくなくとも僕はそう自戒しています。

大企業×スタートアップのオープンイノベーションがスムーズに進むために

−− オープンイノベーションを進める上で、スムーズにいかないことはありますか?

スムーズに行くか、行かないかではないのですが、イノベーション案件を幾つも経験していくと、大企業の力学が垣間見えるんです。本来アナログな業態様でも、データドリブンになりたいという強い意志が見えたり、細かい試算はできていないが取り敢えず今何かやらないと、という先見の明に近い力学が働いて投資に動かれる企業様もあるように感じます。

これは私も大きな組織に一時在籍していたので勝手に思ったりしていることですが、大企業様は「周辺事業」では比較的リスクをとれても「新規事業」ではリスクをとりづらい力学が働くんじゃないのかな、と思うんです。新しいことをやっても成功しても本業の売り上げより小さいのが当然で、うまくいってもそれ。うまくいかなければ責任問題になる。だからなかなか新規事業としてリスクが取りにくい、そしてそれが当たり前なんじゃないだろうか。本業でレベニューが立っているのに、なぜ投資するのか、本当に儲かるのか、テストはしたのか、と幾つもの過程を通って、やっと大組織がリソースを投入するのだと思います。

そんななかで、これまで当社がご一緒させていただいてきた大企業様とここまでスムーズにコラボレーションできたのは、ワクワク感の共有があったからです。互いにワクワク感や危機感のモチベーションの共有があって、互いの担当も人間力や決裁権 – または決裁できるよう組織的コンセンサスを方々からまとめ上げる組織力 – などの力量があるというのが、いちばんいいです。よくないのは、その逆ですね。 一緒に成し遂げたいビジョンもその大義も共有がないなか、延々とブレストや勉強会を続けると、時間と体力の消耗は目に見えています。それを見極める分別も、体力が少ない側であるスタートアップの大きな職責なんでしょうね。

−− オープンイノベーションを重ねながら、実現したいことは?

日本の社会インフラとしての「Tamecco」です。Amazon.comにログインした、非常にキュレーションされた状態を、普段外出しているときにもつくりたいんです。つまり、スマホの操作なしに、ハンズフリーで顧客行動がビッグデータとしてリアルタイムで理解・解釈されて、例えばこれまでの購入履歴と現在位置から最適なワインを勧めてもらえる。ポイントが貯まっていたら、自動で割引サービスが起動する。店舗側は、POSも動線データもペルソナ情報として解釈して取得できる。

例えば、その店で、Aさんのチョコレートの購入がなかったとする。この男性はチョコレートに興味がないクラスターに分類されてしまいがちです。ところが、来店のたびに、コーナーの前で2分立ち止まっている。この場合は、この男性は、たまたまそのお店で好みのチョコレートを見付けられてないだけかもしれないという結果になります。動線を理解することによって、POSデータでは不可能な消費者心理がわかります。

ここまでできれば、販促方法もがらりと変わってきますよね。そのユーザーに合わせたアプリ上のバナー表示とかプッシュをすることで驚異的なコンバージョン値を弾き出せることは想像できると思います。 大手企業が「Smart City」「Future store」などの呼称で取り組もうとしている未来志向のユーザー体験に、当社の屋内動線測量技術もその一助となれれば幸いです。

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マンモス企業の世界観を活かして、使えるテクノロジーを提供する

−−大手IT企業も挑戦しようとしているのに、挑戦する理由は?

私のような若輩者が大変釈迦に説法なのを承知の上で申し上げますと、時代の趨勢のなかでスタートアップができることの一つが、GoogleやAmazon.comのようなマンモス企業が描いた世界観を補完しつつも、最高にニッチなテクノロジーで世界を極めることなんです。そのニッチな分野でさっと動くからこそ、しっかりしたビジョンをもってピッチできるし、大手企業様との親和性もでてくると思います。 そしてこれは人事採用にも波及してきます。一般的に言うエンジニアのとりにくさは表層的なもので、売り手市場とはいいますが、技術力があり、自信も自負心もその分高い優秀な人材が働く理由は、必ずしも社名や給与ではないんですよね。共感できるメンバーや尊敬できるチームリーダー、ワクワクできるビジョンやプロダクトがあれば、ひとは来ると感じています。

少なくとも当社が毎日頑張れる最大のモチベーションは、「これまでいただいた信用を大切にすること」です。当社に実績がなかったころ、幅広く業務を提携してくださった𠮷野家様をはじめとする大手企業様をがっかりさせたくない。当社のこれまでの増資ラウンドにご参加くださった投資家様の信用とご期待に応えたい。これまで二人三脚で私とお付き合いくださった相手方企業のご担当者様の個人的なご期待と熱意にお応えしたい。別に頼みもしていないのに、「ありがとう」のお声をくださった数多くのユーザー様をもっと喜ばしたい。それだけ考えて生きています。

 

−− そんなキムさんの、タメコに至る経緯もお聞かせ下さい。 大企業にいらした経験もあるんですよね。

実家が韓国で、京都で生まれて、中学までは日本。高校はサンディエゴ。外交官になりたくてロサンゼルスにある大学で政治の勉強をしました。外交官になるひとは結構ロースクールに行くので、日本でGS、JPモルガン。合計で4年、証券会社で株の営業をしました。そこでロースクール代を貯めて、アメリカに帰って、ボストンでロースクールに3年行って、NYで弁護士資格を取りました。

そのあと、外交官になるべく韓国政府関係者とかけあったら、「韓国に住んで、国家試験を受けること」と言われたんです。お金も尽きたし、そんなに待っていられない。かといって、資格取って実務をしないのも、と考えて、IPOやM&Aを専門にするウォールストリートの弁護士事務所で、NYと東京のオフィスを行ったり来たりしながら5年間。ただ、お金をもらって、ひとにアドバイスをしていると、ぼくはなんとなく違うなーと思ったんですね。性格上、逆にお金をあげてアドバイスをもらって、決定していく方が面白いんじゃないかということで、日本最古のプライベートエクイティファンド、ユニゾン・キャピタルに入ったんです。日韓投資をする投資チームに入って、充分楽しくやりがいもあったのですが、そんな矢先タメコの社長をやっているジョナと個人的友人になり、結局タメコに合流しました。

傍から見れば、何の一貫性もないキャリアですが、点と点が繋がって線になっているというか、「交渉するのが大好き」という部分ではあらゆる職種で結果的にブレなかったのかもしれません。能力も情熱も高い社内チームをしっかり尊敬・尊重しながら、対外的にわかりやすく足元の相乗効果と長期的夢や大義を共有していかないといけないので、これまで磨いてきた能力全てが試されている気がします。

 

取材先 : タメコ株式会社   http://tamecco.jp/ja/

 

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